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ジェンダー・ギャップ革命

第6章 異性愛者差別



「そうか……。英真は、百目鬼さんと仲直りまだなんだ。最近LINEの返事が遅くて、話しても元気がないから、何かあるだろうとは思っていたよ」

「あ、元気はありそうだよ。英真ちゃんは、しづやちゃんと結婚して落ち着いたし……帰る場所がある人特有の、安定感?って伝わる?あの家、佐々木さんもいて賑やかだし」

「まぁね。妹はあの通り明るくて綺麗で人望厚いから、ほら、ありあちゃんみたいに親身なお友達もたくさんいる」

「有り難う。お兄さん公認のお友達なら、私は迂闊に喧嘩出来ないわね。する気もないし……お姉ちゃんになるかも知れないし?」


 最後はひとり言程度の声にとどめておいたのに、ありあは頬が熱くなるのを感じた。

 ただ、肝心の英治はきょとんとまばたきするだけで、彼には遠回しだったかも知れない。

 ややあって、彼が何か理解した顔つきになった。


「そうか、姉妹みたいに仲良くしてくれていたのか……。あの子は昔から外での話をあまりしないから、ありあちゃんと出逢えて良かった。こんなご時世で、男というだけで話すのも嫌がる女性もいるのに、俺は幸せ者だ」

「そう、そのこと。何か困ってない?英治さん、会社勤めよね?一般企業は、パワハラもよくあるんでしょ?」


 青く着色されたほたて貝の器に盛られたプティグラタンを綺麗に味わう英治を見ながら、ありあは届いたばかりのフルーツフレーバーの紅茶の入ったティーカップを持ち上げた。

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