クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第12章 薔薇の谷 編
「いいのか、俺たちを家にあげちまって?
イヤだったんじゃなかったのか?」
「もう夜だ、森のなかには狼がウヨウヨしている、女子供が出歩ける時間じゃないんだ
仕方あるまい」
ラーズは母親のことを聞き出そうとしていたがそれさえぎったのはエアジェイだった
「アクシズ出身の技術者というからてっきりスペースノイドかと思っていたんだけどアンタはカザンラク出身なのかい?」
暖炉で作り置きのシチューの鍋を開けていたイバンは皆にふるまった
「俺は16まで此処で育ったんだ、両親が宇宙に出ることになってな、そこからはサイド3へ移り住んだんだ
戦争が終わってアクシズも無くなり行く先も無かったからな、生き残った俺だけカザンラクに戻ってきたんだ
ガブリエラと再会したのはその時だ
お前はもう此処を離れていたんだろう?
会った事は無いが、彼女から話しは聞いていたさ、無鉄砲で手に負えないからムリヤリ軍に押し付けた、って言ってたぜ?」
ラーズはふてくされ、ローズは笑った
「どうして貴方はダイクンの作戦に参加しなかったの? 連邦軍にも入らなかったという情報だったけど?」
ターヤ〈トラビス〉は疑問を投げつける
「当時は俺も若かったし、がむしゃらに働いたさ?でもその結果、非人道的な研究に明け暮れる企業に愛想が尽きたのさ
もう人殺しの技術はコリゴリなんだ
お前たちがどうやって俺にアクセス出来たのか不思議だが、お前たちの戦争ごっこに興味はない、今夜は此処にとどまって夜が明けたら戻るがいい」
諜報員であるエアジェイとターヤはそれ以上言葉を出せない
追求されれば逆に自分たちがスパイだと晒してしまうようなものだ
シチューをすすりながら話しかけてきたのは小さな子供のローズだった
「わたしの名はローズ、今はそう呼ばれている
そして、わたしは〈クローン〉よ
わたしの姉や妹がカプセルで眠らされている
目覚めさせられるのはオジサンだけみたいなんだけど?」
ローズのひとことでイバンの手が止まる
「まだ計画が続行されていたのか…?」
イバンは目を見開いて動けない様子だ
「計画? どの? エターナル計画?
それともカタストロフ計画のこと?」
「どうしてそんな事までこんな子供が知っているんだ?」
「だからクローンなんだってば」
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