クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第12章 薔薇の谷 編
ブルガリア 内陸のバルカン山脈
山々に囲まれた一帯は川の流れに沿っていくつかの街を形成している
ラーズ、ローズの2人に加えてターヤとエアジェイのヘイル姉弟の4人は山あいの大きな街カザンラク・シティにやって来ていた
石畳の歴史ある幹線道路、
家屋の2階は道に突き出た古くからの街並み、
ヨーロッパの文化を色濃く残す景観はターヤやエアジェイには新鮮に映るようだ
「あっちが国営の軍の工場、オレたちが向かうのは向こうの民間の軍事工場、それで向こうは……」
「ラーズ君が来てくれて良かったよ、さすが地元民だね」
「エアジェイ、オレの地元はもっと山あいの田舎のほうさ、こっちは昔から軍関連の工場で賑わってる」
「それより良いのか?〈ストーム〉を湖に浮かべたままほおっておいたままで……?」
「誰かが乗り込んで来たところでどうせローズが居なきゃあ動かせない、まぁバリアもあるから乗り込むどころか近づくことさえ出来ないだろうよ」
「いいのかなぁ…?けっこう大切なモノなんだと思うんだけど……」
エアジェイ〈アトキンス〉は5年前にトルコ軍が血まなこに探していた極秘扱いのマシーンを、ラーズたちが乗り合いバスのようなライトな使い方をしていることに違和感が拭えないのだ
それは当然ターヤ〈トラビス〉も同じで5年前に捕らえられ、拷問を受け、凌辱されたことのトラウマが蘇るのだ
それがこの2人ときたらまるでピクニックのような感じで“ちょっと出かけてこよう”みたいに母艦から離れたことが信じられなかった
事前にヨハネスから戦場になる前に此処を離れなさい、とは進言されたもののまさかあの〈カタストロフマシーン〉で出かけるとは思わなかった
彼らがブルガリアを訪れた理由はもうひとつあって、満足に使いこなせないデカブツを牽引しながら戦えない、ついでに彼らについて同行して欲しいと依頼されたからだ
こうして〈ストーム〉をかろうじて乗り込めるローズと、その保護者がわりにラーズが戦場を離れることになりターヤとエアジェイは同行することになる
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