クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第12章 薔薇の谷 編
黒海沿岸 トルコ領
カンドゥラの岬の先にある絶壁に囲われたケフケン島
本来ならばイスタンブールからの観光客が押し寄せる景勝地で〈ピンクの岩〉として奇岩群が並ぶ
だが第二次ネオ・ジオン抗争による小惑星落下作戦により周辺の寒冷化が進行、観光客は激減していた
入り組んだ岩場の隙間に4機のクラング〈エキサイター〉が潜んでいた
どの機体も酷い損傷を受けており、数時間前のシュメッターリングの奇襲で甚大な被害を受けていた
「リジー姉さん、血が止まンねぇよ!」
「シャキッとしな、オトコだろッッ!
誰かアスピリン持ってないかい?
デニスに渡してやりなッッ!」
「レスが港町で買ってきた袋に入ってなかったッスかぁ? おい、俺の分の酒残しとけよ!」
「あぁ、買ってきましたよ?
そっちの袋じゃない、向こうのだ」
ステンドグラス隊の残存兵たちは切り立った崖の下に簡易タープを張っていた
機体だけでなく兵士たちも皆疲弊しきっている
「それで? レス、本体に連絡は出来たのかい」
「ええ、一応伝えてはおきましたけどね、
ただ今回の掃討作戦で幹部連中は出払ってて留守番みたいな小僧しか残ってなかったんです」
「なんだい、じゃあ私らは此処で足留めかい
補充が無けりゃあ追撃も出来ないじゃないか」
「しかし…アネゴ、気になりませんか?
奴らの母艦、デカ物を引っ張って無かった
昼間は確かに随伴してたのに……!」
「……そりゃ気が付いてたさ!
〈カタストロフマシーン〉が離れてる今が母艦をヤるチャンスだってぇのにッ!
今なら私らだけでヤれた筈なんだ!」
「……しかしグリメット軍の〈蝶〉が参戦してくるのは想定外だったなぁ……、あの鱗粉を撒かれちまったら近づけねぇよ?
奴らが来てなかったらゾーナタは落とせたのにッ!」
「……じゃあ、カタストロフマシーンのほうは何処へ行ったんだ?」
「姉さん、肉が焼けましたぜッ!
腹ごなしにしましょうや」
こうして手負いの兵士たちは野営することになってしまった……
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