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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第12章 薔薇の谷 編



その頃、飛行訓練を終えたジョン・リアリティとシミュレーションを行ってきたガブリエラ〈クレア・サンデリアーナ〉が休憩をかねて食堂にやって来た


ジョンが奥のテーブルのほうで人だかりが出来ていることに気付いて顔を出した

つられてガブリエラもついて行く


「なんだい、何があったんだ?そんなに集まって? んん、この女性……誰だい?」


環の中心にいたターヤが声のほうを振り返る


そのとき、ジョンの背後にいたガブリエラとバッタリ目が合った


「クレア……!?」

「あなた、もしかしてトラビス???」


「ええっと? ガブリエラ知り合いかい?
 
 えっ、なんで本名を知っているんだ?
 じゃあ月の人ってこと?」

ジョンが不思議そうに訪ねる

そばに座っていたジェニファーも不思議に思って口を挟んできた

「トラビス??、  ターヤさんじゃなくって?」


偽名を名乗っていたふたりは思わずお互いを本名で呼びかけてしまっていて、周囲は困惑するしかなかった


そしてあとから食堂にやって来たのはシミュレーションが終わったローズだ


「あーあ、やっと終わった!
 喉が渇いちゃった!
 あれ、なんでみんな奥の方に固まってるの?

 あ!そうか!飛行機の人だ!
 すっかり忘れてた!
 どの人ぉ〜?」

ローズが無邪気に駆け寄ってきた


するとターヤ〈トラビス〉はガタッと椅子から立ち上がって驚きの声をあげた


「……キアラッッ!!??

 いや、似ているけど……子供??
 まさかキアラの子供??」


ターヤ〈トラビス〉は驚きの声を隠せない


その声に反応したのは目の前にいるガブリエラだった!


「どうして貴女が〈キアラ〉の名前を知っているのッッ!!??
 月から降りてきたのは先日なのよ??」

ガブリエラは月からの逃走劇を地球の人々が知っているわけない、と彼女の言葉が信じられなかった


そしてラーズも違和感を感じる

「アンタが言ってるキアラってのは大人なのか?

 成長した姿のキアラと会った事があるってんだな?」


それまで賑やかに談笑していた食堂は一気に空気が変わってしまった…


それまで南国のビーチでたむろっていたかのような雰囲気から突然北極の凍てついた世界へ飛ばされたかのような空気となってしまったのだった






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