クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第12章 薔薇の谷 編
「数日前? 子供?
ヨハネスこそ何を言っているんです?
子供のキアラ?
……まさか!? 本物のキアラが?
“子供の状態のキアラ”がこの艦に居るのか?」
迷走するアトキンスは困惑しているが、同時にホーンキストたちも困惑してしまう
「本物の、とはどういう意味だ?
それに子供の状態だって?
まるでキミはオトナになったキアラに会った事があるような言い回しだな?」
3人はお互いに頭を整理しようと誰も話さなくなってしまった
ようやく重い口を開いたのはアトキンスのほうだった
「5年前……、まだボクが本当の顔のアトキンスだったとき、ボクはとある軍事作戦に参加していました
表向きは敵国アルメニアと戦闘状態になっていた最前線でもうひとつの極秘裏な作戦が進行していたのです
そこで巻き込まれたボクの命を救ってくれた不思議な女性と出会いました……」
「その女性がキアラだと?
彼女のおかげで生きていると言うのかね?」
「彼女が言うには“自分は不完全なキアラ”であると、完全なキアラは子供の姿をしていて後継者へ引き継ぐために月から降りてきた、と語っていました……
てっきりそのキアラが、大人のキアラがこの艦に乗り合わせているものだと思って危険を冒して此処まで来たんです……
どうやらボクの勘違いだったようだ」
落胆するアトキンスの肩を撫でてやるヨハネスは彼に同情するしか出来ない
「残念ながらこちらの〈ストーム〉を操作していたキアラは既に命を落としていてね…、あとは冬眠カプセルに眠るクローンたちを見つけたんだが目覚めさせる事が出来ないんだ……」
「ヨハネス? それでは不慣れなパイロットというのはキアラじゃないのか!?
そんなバカな!?
キアラ以外はコントロール出来ない筈だ?」
ヨハネスはうーん、と眉間に皺を寄せながら腕組みをして考え込んでしまう
「まぁ、なんというか……、
この艦の客人の娘さんでねぇ…、
まぁ顔はなんとなく似ているんだけど」
「……その子はキアラじゃないのか?」
「皆はローズと呼んでいるんだけどね、
まぁ、それはニックネームみたいなものかな
どちらにせよ、客人の娘さんなんだよ?」
「どうして?」
3人はまた黙って考え込んでしまった……
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える