クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第12章 薔薇の谷 編
ヨハネス司令が先導してトイレに向かう
その後ろをエアジェイ、しんがりをホーンキスト艦長が務める
ホーンキストはおや?と思っていた
“どうしてヨハネスはこんなに遠回りでトイレに向かうのだろう?
階段を昇る? わざわざ上の階層まで行くのか? ”
ちょうど目の前のトイレには年老いた婦人がトイレの掃除をしようとバケツとモップを運んでいるタイミングだった
「ハンナ、ちょっと此処を使うよ?」
ヨハネスは老婦に声をかけてトイレのドアを押すとハンナと呼ばれた老婦はコクリと頷き〈使用禁止〉の立て札をかけた
エアジェイ、ホーンキストと3人が入ったあと扉の向こうでは後からトイレに入ろうとした若いクルーがハンナと言い争いをし始める声が聞こえてきた
「なんで俺だけトイレに行けねぇんだよ!」
「うるさいわね、私の仕事を増やさないでおくれ!ほら、下の階に行きなさい」
どうやらトイレの入り口でハンナが人払いをしてくれている様子だ
ホーンキスト艦長は“いつの間にヨハネスはトイレの掃除婦を懐柔していたんだ?”と不思議に思った
トイレに3人だけになるとヨハネスは笑顔になった
「お久しぶりです、ヨハネス」
「やっぱりアトキンスだよね!?顔が変わっちゃってるから最初気がつかなかったよ!
飛行艇から降りてきてすぐにおかしなハンドサインをしてくるからさぁ!」
「知り合いですか、司令の?
アトキンス? エアジェイは偽名ですか」
「改めましてマイケル・ホーンキスト艦長、わたしは連邦軍諜報部隊のアトキンスです
以後お見知りおきを、と言っても次に会うときはまた別の顔になっているでしょうが……」
「諜報? スパイかね?」
「マイケル、私とアトキンスは古くの友人でね! しかし驚いたよ?北欧のエリアからは絶対に出ないって言ってたのに?」
「ええ、特にこちらのコーカサスエリアは近付きたくもなかったのですが……
緊急の要件が発生しましてね、ちょっと無線の通信では傍受されてしまう危険があったので直接お伝えしに来ました」
ヨハネスも神妙な顔つきになる
「もう一台のカタストロフ・マシーンが現れました、アゼルバイジャンです、もうすぐ近くまで」
「もう一台ッ!?」
ヨハネスとホーンキストは顔を見合わせた
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