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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第11章 眠り姫  【過去編】



追ってきたジープは目の前にひとりの女が立っているのを見て慌てて急ブレーキをかける


中から降りてきたのはオーウェンだ


オーウェンは目の前の薄着の女、キアラが白い雪原の大地にたたずむ姿に見惚れてしまいそうになる


透き通るようなキアラの肌はまったく紫外線を浴びたことのない肌なのだろう


彼女はあの山のなかに埋められていたようなものだ


数刻前にトラビスをスパイ容疑でレイプしたというのに目の前の女を見て再び男の欲がムクムクと湧き上がってくる


“こんな山奥なら大佐にも気づかれまい?”


と不穏な考えが頭をよぎる



他にもオーウェンの部下らしき兵士たちがゾロゾロとジープを降りてくる


キアラの嗅覚はこの男たち全員がトラビスやアトキンスを拷問した臭いに気付いていたが


“こいつらはクソだな”



キアラが男たちを醒めた目で威嚇する


それは男たちにも伝わったようだ



「キアラさん? アンタどうしてアイツらのジープから降りて俺たちを待ってたんだ?」


オーウェンが頭をぽきぽきと左右に動かしながら歩み寄ってくる

それに兵士たちも続く


「オーウェン隊長、そりゃあこのお嬢さんは俺たちを待っていたんだよ、そうだろ?」

兵士のひとりはニヤニヤと破顔して雪の中で歩みを早める
性欲がいきり立っているかのようだ



キアラはバカバカしい茶番に付き合うことにした

「私から降りたんだッ!彼らに利用される筋合いは無いからな
 彼らは私の存在を手にして反乱でも興すかのような言いぶりだった

 わたしは戦争の道具にしかすぎんが、政治的な駆け引きに利用されるのは望まない

 それならアンタたちのほうが組織が大きいでしょう? そのほうが私もムーンブレイドも本望よッ! 道具は道具なりに求められている場所が必要なのッ!」



それを聞いた兵士はますます鼻息が荒くなる


「あぁ、俺たちはアンタを求めてるぜッ!?
 お互い楽しめそうだ」


ニヤつく後続の兵士を制止させたのは先頭を歩くオーウェンだった


「それとこれとは話しは別だ!
 アイツらは逃さない」

オーウェンは遠くに走り去るアーニーのジープを見据えた……


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