クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第11章 眠り姫 【過去編】
軍用ジープが暗闇のなか山道を駆け抜ける
国境近くの山岳地帯は岩だらけで遠くの山あいに森らしき黒い景色があるが暗くて見えない
アーニーが運転するジープはスピードを落とさず荒れた道を走っているため乗り心地は最悪だ
こんな中でも気絶しているトラビスとアトキンスは目覚めなかった
彼女たちにようやく訪れた休息の時間
きっとトラビスは何人もの兵士になぶられ、
そしてアトキンスも過酷な拷問を受けたのだろう
それもこれも“わたしに関わってしまったからだ”とキアラは胸を締め付けられる
きっと軍はどこまでも追ってくるだろう
彼女たちが自分と一緒に居るとますます害を被るのではないだろうか
だが関わってしまった以上彼女たちは一生おもての生活は出来ないだろう
軍はムーンブレイドを、そして自分を手に入れようと躍起になるだけだ
秘密裏に建造されたカタストロフマシーン
そしてそれをコントロール出来るクローン人間
あの捕獲されたときに居た男、ハルフォードはカタストロフマシーンのこともクローン人間の事も良く知っていた様子だった
手に入れたいのは自分だけなのだ
トラビス、アトキンスには興味を示さないだろうから次に捕獲されれば命は無いだろう
トクン……
感情のないキアラだったが、何故か不快哀しみの感情が押し寄せてくる
“これは私の感情ではない、
きっと私の親株となったオリジナルの記憶
作り出された哀しみの記憶なのだろうか”
キアラの鼓動は哀しみだけではなかった
“近くにムーンブレイドがいる”
山道の悪路の先にきっとあの場所がある
“わたしが眠っていたあの場所、
近いな?”
キアラは流れる窓の景色を見つめる
あの谷の向こうにムーンブレイドの息吹を感じるのだ
“私は戻らなくてはいけない”
キアラは何かを決心したような顔つきになる
着ていたワンピースの端を引きちぎりトラビスの顔を拭いてやる
血と汗と放たれた兵士たちの精の汚れを拭き取ってやる
「アーニーと言ったな?私はここでヤツラを撹乱する、貴女は空港まで走りなさい」
「ええっ!?」
アーニーはバックミラー越しにすごむキアラを見る
そして、そのバックミラーには追っ手の光りが迫っていたのを見た
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える