
クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第9章 黒海海戦
ラーズとローズがふざけ合っている光景を眺めていたホーンキスト艦長は“ああ、なるほど!”と何かを思い付いたような表情を見せた
「そうか、キミもローズになればいい」
「え?」
「はぁ?」
みんながキョトンとした表情になったがホーンキストは明るくみんなの前で話し始めた
「敵も味方も情報戦だろ?SNSやら所属リストの漏洩やら覗こうと思えばどこからでも漏れ伝わってしまうだろ?
なら最初からみんな架空の通り名で活動すればいい!だれもミセス・クレアとは思わないさ」
ホーンキストはニコニコしてみんなの方へ笑顔を振りまいていた
「まぁ、オレの名前がいいかどうかはともかく偽名にしておくのは賢明だろうな、オレの家系のローズ家ももともとは違う名前だったのさ
香水の原料にするため代々バラの栽培をしていたそうなんだが、仕事関係の通り名がいつしかそのまま本当の名前で通用するようになった、というふうにオレも聞いているから!
ジオンとの戦争があったりで家族はバラバラ、今ではバラの栽培をしている人間なんて誰も居ない、名前のローズ家だけが残っちまった」
ラーズはぽつりと言い放った
クレアはどうせ名前を変えるのならスコットの家名を名乗りたかったが、同じ逃亡者の名前を名乗るのは意味がないだろう
「ラーズの母親はなんて名前なんだい?」
「ガブリエラだ」
「じゃあそれでいいじゃないか、ミセス・クレア、キミは今からガブリエラ・ローズだ」
「そ、そんな簡単に…」
「アレコレ考えても仕方ないだろう」
「おい、オレの身内の名前だぞ?」
「重複した名前のほうが見つかりにくいだろ」
こうしてクレアは地球で新しい人生をリ・スタートすることになった…
