クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第9章 黒海海戦
ちょうど数刻前、
目の前を飛び交うドライセン改“ヘリオン”の群れに翻弄されていたローズは慣れない手つきでバリアーのエネルギー配分をコントロールしていた
パパパパパ!!!と素早く手を動かす様子はラーズにもクレアにも初めて操作しているようには見えなかったが、本人は余裕なんて無かった
であるから遥か上空から巨大な石油タンカーが落ちてくるなど予想もしていなかっただろう
突然の警告音に気付き、なんとか姿勢制御して緊急移動は出来たものの、その凄まじい爆発の衝撃にはコクピットルームの人間には対応できなかった
部屋の真ん中に位置するコクピットシートを挟んだクレアとラーズは立ったままだったので、突然の衝撃にそなえられたわけもなく、ふたりはそれぞれが壁や床に叩きつけられてしまった
かろうじてシートに固定されていたローズだけが無事だった
クレアは苦悶の表情を浮かべているが、
ラーズは意識が無い様子だ
「大丈夫ッ!?ふたりとも!!」
「わ、わたしたちのことはいいから…、
まわりの敵のことに…、集中して…!キアラ」
「キアラじゃないよ、ローズだよ!
ラーズ!ラーズ、早く目を覚ましてよ!」
「彼は頭を強く打ったみたい、早くメディカルカプセルに入れないと…」
「お姉さん、あなたも頭から……」
ローズに指摘されてクレアは自分の頭を触ってみる
生暖かいヌルッとしたものに触れる
ズキン!とする痛みと同時に視界にモヤがかかったようで意識が飛びそうだ
しかし戦闘中にそんな事は言ってられない
「私が彼をカプセルに入れてくる
アナタはなんとかこの戦域から脱出してみて」
「お姉さんもカプセルに入ったほうがいいよ、
こっちはこっちで何とかやってみる!」
「たしかヴェスパーとか言う武器かあるそうよ、Vで検索してみて!」
クレアはラーズの肩を担いでふらつきながら部屋を出ていった
「Vから始まる武器…、これかな?
ああ、ダメだ!バリアーのまわすエネルギーが無くなっちゃう!?
でも…、仕方ない
このデカいの、保ってよね!」
ローズはエネルギー配分を変える操作をして、その時を待つことにした…
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える