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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第9章 黒海海戦


敵の巨大兵器の周りを旋回しながらビームライフルを撃ちまくるトム・アーロンのヘリオンはいささか拍子抜けしていた


あれほどまでにバリアーで苦戦していた相手がまったく無防備で、まるで戦闘放棄したかなように見えたからだ


たが、この機会を逃すわけにはいかない

ジョー・ディビーズ将軍の機体を捜索したいのもやまやまだが、このチャンスを失うと今度こそ何も対抗策が無くなってしまうだろう


破壊された石油タンカーのせいで海面は原油に汚染され、まるで海が燃えているように見える


この炎の中にジョー将軍の機体があるのだろうが今のトムにはどうすることも出来なかった


同じく上空でタンカーを牽引していた僚機のヘリオンやフェニックス級の中型飛行船も降りてきており、彼らもトム機同様に目の前の動かない巨大兵器にとどめの攻撃を繰り返していく


原油が焼ける匂いが密閉されているコックピットにまで届いている


なおも広がる原油の炎と周りの爆発がいつまでも続き、敵は完全に沈黙したように見えた


タンカーは直撃こそしなかったものの、大きなダメージを与えられたは歴然だ


タンカーを落下させた作戦はやり過ぎなようにも思われていたが、これぐらいまでしなければ戦いようが無かっただろう


すると僚機から通信が届いた

「トムッ!姉さんのヘリオンだッ!無事っぽいぞッ!?」

「本当かッ!?よく見つけた!すぐにピッキングして船に戻そう!
 俺はコイツにトドメを刺さなきゃならん!」


トム機の方向からは視認出来なかったが、2機のヘリオンが大破したヘリオンを両脇で挟み抱えて浮上していった


敵はもう火だるま

将軍も見つかった


希望が見えたその瞬間、


煙と炎の中から巨大な砲塔が見えた
シールドの下に隠されていたメガ粒子砲よりも巨大な砲塔

「う、ウソだッッ!!??」


砲塔は空気中に光を放ちながら集束していき、あっという間に辺りがまばゆい光りに包まれた


「ぎゃぁぁぁぁああああッッッ!!!!」


ヴェスパー、v.s.b.r.

可変速型ビーム砲、

後の時代にモビルスーツサイズまで小型化された兵器だが、まだこの時代過渡期の実験タイプで巨大なジェネレーターを必要としていた




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