
クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第8章 マシーンと少女
「しかもそれはとても不安定なものでな、
突然老化が始まって廃棄された者もいれば、永遠に子供の姿を余儀なくされた者もいる
さまざまな副作用も発症して、とてもクオリティが低いものだった
その中で特異点のような究極の兵士が生み出された
それがアレクという少年だ
彼は今でも世界の何処かに存在するそうだ
そのアレクはなんと子供をもうけた
〈エターナル・チルドレン〉同士を掛け合わせたとも、ニュータイプや強化人間とを掛け合わせたとも、
はたまたドクターキンバリーが自ら子を宿したとも噂されたが、真相は闇の中だ
そのアレクの子供、
名前は“キアラ”と呼ぶのだそうだ」
「……キアラッッッ!!??
それじゃあ、この子がその??」
オーロラは天を眺めながら静かに話しを続けた
「キアラは検体となり、新たな研究の対象となった、わかるだろ?研究者とは残酷な人種だな
キアラはクローンを作られ、さらにそこからコピーのコピーが作られていく
また、そこからデータだけの状態で高値で取り引きされたりもして、世界中に悲しい子供が作られてしまったんだ
今ではオリジナルがどれだか同定させることも不可能なのだそうだ」
ジェフリーは完全に言葉を失った
ただの生意気なガキのように思えたふしもあったが、そこまで酷いものとは思っていなかった
大人たちに振り回された“モノのような扱い”
自分もそのようなおとなたちのうちのひとりでしかないのだ
淡々と語るオーロラだが、そこにはただならぬ思いがあるようにジェフリーには思えた
“オーロラもそのプロジェクトに関係していてたのか?”と感じさせるほどの気迫があるのだ
それ以上話しを続けないオーロラを見かねてか、キアラが横槍を挿してきた
それもまるで他人事のように笑みを浮かべながら
「その素晴らしい能力を持ったわたしが乗り込める、わたしだけが操れる機動兵器、
それがカタストロフィマシーン、さ!
おわかり? ジェフリー君」
不気味な笑顔で目の前でおどけている少女は見た目の年齢では無い、というのか?
ジェフリーは少女の問いかけに答える気を失った
