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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第8章 マシーンと少女


小さな女の子のキアラが自ら〈チルドレン〉という呼び名を使ったことがジェフリーには違和感があった


「この子はいったい何なんだ?
 わたしにはさっぱりなんだが?
 オーロラ隊長、そろそろ教えてくれてもいいんじゃないですかね?」


ジェフリーはふくれっ面をして背もたれにドッサリ身を沈めた


オーロラはやれやれといったようにため息をついた


ジェフリーは苛立ちが止まらないのだ
それはタブレット端末で見たロジャー機の最期の光景があまりにもショックだった
彼らはサッドウィングス隊での同期だったのだから

つい先日まで隊長アビゲイルの文句を言い合っていたのに……、
彼の悪態がもう見れない

その隊長もろともあの謎の巨大兵器によって消し飛ばされてしまった


オーロラは目をつむってゆっくり語り始めた


「昔……、

 一年戦争の時代に宇宙空間に適応した新しい人類〈ニュータイプ〉の研究が始まったことぐらいは知ってるだろう?」


「ええ、もちろん!
 人の進化系と言われ、感覚機能が並外れた特殊能力を持った人たち
 さらにそれを人工的に作り出したのが人工ニュータイプ〈強化人間〉
 だから私はこの少女を強化人間かとお尋ねしたのです」


「一年戦争の時代、ニュータイプ以外にも様々な人間兵器の研究がされていたんだよ、
 秘密裏に、非人道的に!

 ほとんど陽の目を見ることも無かったそうだ
 まぁ、研究なんてそんなものだろう

 その中で実用性の高い一つのプロジェクトがあったのさ!
 
 それがドクター・キンバリーによる〈エターナル・プロジェクト〉というものなんだ」


「エターナル・プロジェクト?」


「肉体的な反射神経を究極まで高められた兵士を生み出すための研究だ

 それは若い検体から生み出される
 年老いた肉体では反射神経も減衰してしまうのだ

 やがて研究は極限の研究へ繋がっていき、なんと老化させず時を止めたように子供の姿を維持したまま人間兵器として戦場へ投入させる計画を立てられていたんだ

 それが〈エターナル・プロジェクト〉だ」


ジェフリーは現実離れすぎた話しをされて、言葉が出なくなってしまった……



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