
碧と朝陽
第22章 月野郁人
「ふむ、月野さんはDomなんだね」
問診票を見ながら夜久さんは呟く。
「僕もDomなんだ」
「え、」
さらりと言われた言葉に少し戸惑う。
「でもね、僕は誰かに乱暴をしたり無理矢理言うことを聞かせることで欲求を満たすわけじゃない。いろんな人がいる。月野さんはどうなんだろうか。」
「お、俺は」
朝陽や、今まで適当にプレイをしてきたやつを思い出す。俺は、きっと乱暴なプレイをしてきたんだろう。そうじゃないと欲求は解消されないと思っていた。
少なからずそれで発散できていたし、気分も良かった。
ただ、すぐにまた体の不調がやってくる。
俺が下を向き、黙っていると
「月野さん、Switchでしょう」
急にずいっと顔を寄せられ、どきりとする。
「すいっち………?」
なんだそれ。
夜久さんは隣にいる看護師に目配せをする。
すると、看護師は頷いてその場を離れた。
