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恋人は社長令嬢

第1章 素敵な出会いにはご用心

次の日。

部長の挨拶回りに、お供してきた瞬と至。

部長の後ろで、ただ頭を下げているだけの仕事だが、これがなかなか大変。

挨拶した後は、部長達の話が終わるまで、ひたすら店の入り口で待ちぼうけだ。


「なあ、瞬。」

「何だよ。」

「昨日の可愛い子と、どうなった?」

「うわあああああ!」

至は冷静に、叫ぶ瞬の口を塞ぐ。


「どうした?赤間。」

部長が心配そうに、声を掛けてきた。

「すみません。」

瞬は部長に謝ると、至を連れて部長から離れた。

「何で、おまえが知ってるんだ?」

「電話もらった後、店に行ったから。」

「来るなって言っただろ!」

「そう言われたら、行くだろ。普通。」


その普通が、分からない。


「感謝しろよ。邪魔しないで、そのまま帰ってやったんだから。」

至は、鼻の穴を広げながら、威張った。

「はいはい、ありがとう。」

適当にあしらって、部長の元へ戻ろうとする瞬を、至は逃がさなかった。

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