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シャイニーストッキング

第7章 絡まるストッキング6 和哉と美冴2

 122 舞い上がる想い

 水族館内は全体的に薄暗かった、そのせいなのか美冴さんは館内では終始僕の腕に、まるでしがみ付くかの様に自らの腕を絡めて、カラダもほぼぴったりとくっついてきて、いや、密着してきていたのである。

 だから、微かに漂うムスク系の甘い香りに酔い痴れ、密着により美冴さんのカラダの感触が直に伝わってきて、そのせいで僕はすっかり昂ぶり、舞い上がってしまって、大きな水槽の中で優雅に泳いでいる魚達の事など全く視線にも、頭にも入ってこなかったのであった。


「きゃあぁぁ、すっごーい」
 そして美冴さんは、外の観覧席で見るイルカショーに更にハイテンションになって大きな歓声を上げていたのである。

 うわぁ、かわいいなぁ…
 僕はそんな歓声を上げている美冴さんに看とれてしまい、イルカショーも目に入らなかったのだ。

「ふうぅ、ヤバい、楽しい…
 こんな楽しい時間はいつ以来かなぁ…」
 僕達は外の海が見えるテラスに座り、休憩がてらアイスコーヒーを飲んでいた。
 この水族館は夏は海水浴場となる海岸に隣接しているのである。

「みんなも楽しそうねぇ…」
 と、美冴さんは外に見える海水浴客を眺めながら、しみじみと呟いてきた。

「そうですね、海水浴なんて小学生以来行ってないなぁ」
「あら、そうなんだ、わたしは海は、あのゆうじ以来だから3年振りかなぁ…」

「あ、そう…ですか…」
 僕はそう呟いた美冴さんに一瞬、ゆうじさんを思い出させてしまったと想い、焦ってしまう。

「あ、ごめん、ありがとう…
 でもね、不思議なくらいにもう大丈夫なのよ…」
 美冴さんはそんな僕の気持ちに気付いたようでそう言ってきたのである。

「ごめんね、気遣いしてくれて…
 本当に和哉はそういうところが優しくて、素敵よねぇ…」

「えっ…」
 その言葉に僕はドキッとしてしまう。

「あの頃もそうよね…
 高校生のくせにさ…
 まだ、子供だったくせにさ…」
  美冴さんはそう囁くように話してくる。

 そう、まるで大人の男みたいにさ…
 優しくて…
 気遣いが出来て…
 和哉のそんなところが………
 と、僕を見つめてくるのだ。

 えっ、そんなところが…って…

 ドキドキドキドキ…


 


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