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シャイニーストッキング

第7章 絡まるストッキング6 和哉と美冴2

 115 海沿いの町

「じゃあ、和哉にお任せしようかなぁ…」
「えっ…、お、お任せって…」
「うん、お腹が空いたの、何か美味しモノが食べたいなぁ…」

 時刻はちょうどお昼の12時であったのだ…

「あ、は、はい…」
 すると和哉はニコッと笑い…
「わかりました、じゃあ、クルマに乗って下さい」
 と、なんとなく、自信満々な顔をして言ってきたのである。

「えっ、あ、うん」
 わたしはそんな和哉に意表を突かれた感じがしたのだが、とりあえず従い、クルマに乗った。

「じゃあ、行きますよ」
 そう言ってクルマを出す。

「うん…」
 
 とりあえず、念願のゆうじのお墓参りは叶った…
 そして、これでわたしの中での、ある程度の踏ん切りは付いたといえる。

 あとは、前に、前向きに進むだけなのだ…

 そして、それをゆうじの墓前にも誓えたのだ…
 とりあえず、これで切り替えが出来たのである。

 わたしはそう想いながら、運転している和哉をチラリと横目で見る。

 ここまで連れてきてくれてありがとう…
 と、和哉に対して、心の中で呟いた。

「えっ」
 すると和哉はわたしの視線に気付いたようであったのだ、少し驚きの声をする。

「どこに連れ行ってくれるの?」
 だけどわたしはそんな内心の想いをスルーして、話題をお昼の食事の事に変えたのだ。

「さっき、途中の十字路の角に、海鮮丼ののぼりが目に入ったんです…」
 そう言ってきた。

「あらぁ、海鮮丼、いいわねぇ」
 確かにゆうじのお墓のある町は海沿いであり、小さいながらも魚市場もあった。
 だから、海鮮系は新鮮で美味しいはずなのである事は予想できるのだ…

「でしょう、さっきチェックしといたんです」
 と、彼は得意気な顔をしてきた。

「うん、楽しみだわ…
 さすが、任せた甲斐があるわ…」
 そう言うと、ニコッと満面の笑みを浮かべてくるのである。

 ああ、やっぱり和哉はかわいいわ…

 やっぱりお墓参りに誘って、そして来てもらって正解だったわ…

 そしてわたし達のクルマは、海鮮丼ののぼりが立っている駐車場へと入っていくのであった。

 そのお店は、海の町ならではの店構えの寿司屋であった…






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