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シャイニーストッキング

第7章 絡まるストッキング6 和哉と美冴2

 114 昔のままの…

 だからゆうじ、これからもわたしを見守っていて下さい…
 わたしは墓前に誓っていた。

 そして目を開け、チラッと横にいる和哉の姿を見てみる…
 と、何か神妙な顔をしながら墓前に手を合わせていたのだ。

 その仕草がなんとなくわたしには可笑しかった…


「ねぇ、何をお祈りしていたの…」
 そうなのだ、和哉にゆうじという過去の存在を教えたのはここまでの道程の運転中に初めて伝えたのである。
 そしてもちろんゆうじの顔は知らないのだ。

 だから和哉にとってはこのお墓参りは、本当に、全く、関係がないのである…

「えっ、あ、そ、そのぉ…
 ゆうじさんに初めましての挨拶をしていたんです…」
 …そして、これからの美冴さんは僕に任せて下さい…
 って。

「あら、そうなんだ…
 和哉に任せていいんだ…」
 わたしはすかさずツッこむ。

「あ、ま、いや、そのぉ…」
 すると、面白い様にキョドる。

 わたしはそんな和哉の様子に思わず笑ってしまい、なんとなく心が和み、微笑ましくなってきていたのである。

 やっぱり和哉と来て正解だったかも…

 本当に和哉はいい子なんだなぁ…

 わたしはそう想いながら、改めて和哉を見る。

 昨夜、改めて和哉を見た時の感じは、あの五年前とはあまり変わっていない様に感じていた…
 だが、話しをするにしたがって、やはり和哉は成長し、ちゃんと22歳然とした男に成長しているんだ、と、感じたのである。

 しかし、時折見せる彼の笑顔や、穏やかな雰囲気はあの五年前の和哉そのままであり、わたしは昔に戻ったかの様になってしまい、ついつい錯覚を何度もしてしまったのであった…

 そして、今、気付いたのだ、やはり和哉は和哉そのままである…と。

 あの五年前、今思い返せば本当に僅か二週間の関係ではあったのだが、逢瀬を重ねる毎に和哉に惹かれ、どんどん魅かれていき、そして本当に愛していたのである。

 そんなあの頃のかわいい、そして時には大人の顔をしてわたしを魅了してきていた和哉そのもの、そのままなのである…

「じゃあ、和哉にお任せしようかなぁ…」

「えっ…、お、お任せって…」
 そうわたしが言うと、少しドキッとした顔をしてくる。

「うんお腹空いたの、美味しモノが食べたいなぁ…」

 時刻はちょうどお昼の12時であったのだ…




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