
シャイニーストッキング
第7章 絡まるストッキング6 和哉と美冴2
96 明日がある…
まるで真実さんは、この和哉の部屋のどこかに盗聴器を隠しているんじゃないのだろうか…
と、本気でそう感じられる程の絶妙なタイミングでの、しかも二度の携帯電話の着信に、すっかり昂ぶりを無くしてしまった様であった。
気付くと和哉は、自らわたしを握っていた手を離していた…
そしてガックリと下を向いていた。
いくら流れの勢いとはいえ、わたしに迫ってしまったという自虐な思いの表情をありありと浮かべてきていたのである。
そしてわたしは、そんな和哉の様子を見て、なんかその姿がかわいそうに感じてしまっていた。
「ふふふ、なんか可愛くて、和哉らしいわ…」
わたしは少し励まそうと思ったのと、この場の空気を変えようと、ニコニコしながらそう言ったのだ。
そして、とりあえず怒ってはいないという意味をも込めた…
だが、和哉はまだガックリと肩を落としていた。
ああ、和哉、ごめんなさい…
優柔不断なわたしが悪いの…
心の中でそう謝るのだが、言葉には出せなかった。
なぜなら、もしそう口に出してしまったならば、和哉の自虐がもっと強くなる様な気がしていたからである。
あっ、そうだ…
そうよ、明日があるんだわ…
わたしはその時、ふと、明日のお墓参り件ドライブの予定を思い出したのである。
こんな事くらいで明日はキャンセルしない…
そして、和哉自身もすっかり明日のことを忘れている様であった。
そうよ、明日がある…
「じゃあ、とりあえず、わたしは帰るね…」
わたしは務めて明るくそう言ったのである…
「あっ、はい…」
和哉はすっかり落胆していた。
そしてわたしは、そんな彼の顔をジッと見つめる。
ごめんね和哉…
せめて、これで少し元気になって…
その時、わたしはそう思い…
「じゃあ、明日ね…」
「あっ…」
和哉の唇に、軽くキスをしたのである…
「明日ね…」
そしてまた再びそう言って、踵を返し、有無を云わさぬ感じで急いでヒールを履いて、玄関を開け、振り向かずに出ていったのであった。
バタン…
外に出た後ろから、ドアの閉まる音が聞こえてきた。
「ふうぅ…」
外の夜風は意外に快適な涼しさであった…
まるで真実さんは、この和哉の部屋のどこかに盗聴器を隠しているんじゃないのだろうか…
と、本気でそう感じられる程の絶妙なタイミングでの、しかも二度の携帯電話の着信に、すっかり昂ぶりを無くしてしまった様であった。
気付くと和哉は、自らわたしを握っていた手を離していた…
そしてガックリと下を向いていた。
いくら流れの勢いとはいえ、わたしに迫ってしまったという自虐な思いの表情をありありと浮かべてきていたのである。
そしてわたしは、そんな和哉の様子を見て、なんかその姿がかわいそうに感じてしまっていた。
「ふふふ、なんか可愛くて、和哉らしいわ…」
わたしは少し励まそうと思ったのと、この場の空気を変えようと、ニコニコしながらそう言ったのだ。
そして、とりあえず怒ってはいないという意味をも込めた…
だが、和哉はまだガックリと肩を落としていた。
ああ、和哉、ごめんなさい…
優柔不断なわたしが悪いの…
心の中でそう謝るのだが、言葉には出せなかった。
なぜなら、もしそう口に出してしまったならば、和哉の自虐がもっと強くなる様な気がしていたからである。
あっ、そうだ…
そうよ、明日があるんだわ…
わたしはその時、ふと、明日のお墓参り件ドライブの予定を思い出したのである。
こんな事くらいで明日はキャンセルしない…
そして、和哉自身もすっかり明日のことを忘れている様であった。
そうよ、明日がある…
「じゃあ、とりあえず、わたしは帰るね…」
わたしは務めて明るくそう言ったのである…
「あっ、はい…」
和哉はすっかり落胆していた。
そしてわたしは、そんな彼の顔をジッと見つめる。
ごめんね和哉…
せめて、これで少し元気になって…
その時、わたしはそう思い…
「じゃあ、明日ね…」
「あっ…」
和哉の唇に、軽くキスをしたのである…
「明日ね…」
そしてまた再びそう言って、踵を返し、有無を云わさぬ感じで急いでヒールを履いて、玄関を開け、振り向かずに出ていったのであった。
バタン…
外に出た後ろから、ドアの閉まる音が聞こえてきた。
「ふうぅ…」
外の夜風は意外に快適な涼しさであった…
