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シャイニーストッキング

第7章 絡まるストッキング6 和哉と美冴2

 97 夜道…

「ふうぅ…」
 和哉のアパートの部屋を出ると、夜風は意外に快適な涼しさであった。

 コツ、コツ、コツ…

 わたしはアパートの階段を降りながら、そう吐息を漏らす。

 ああ、和哉に悪い事をしてしまった…

 悪戯に、和哉の想いを散々煽ってしまった…

 本当にわたしは最低だ…

 自宅へと戻る夜道を歩きながら、わたしはさっきまでの和哉のアパートの部屋での出来事の流れを思い返していく。

 たった、あれしきの、わたしのストッキング脚への事故的なワンタッチ程度で、わたしはあんなに簡単に淫れてしまった…

『今更、わたしと……』

 なんて和哉の想いや、下心を分かっている上で彼の心に警告の楔を打ち込んだくせに…
 いとも簡単に、自分自身で呆気なく淫れて、和哉を不惑な想いと混乱と困惑させてしまい、挙げ句にはあの五年前の一時の想いまで心に蘇らせ、一触即発の状態にまで昂ぶり、そして五年振りのキスまでしてしまったのである。

 本当に和哉の心を一喜一憂させてしまい、そして悪戯に彼の心を刺激して、まるで弄んだみたいになってしまったのだ…

 もしも、あの時、彼女である真実さんからの携帯電話の着信がなかったら、あのメールの着信がなかったら、わたしは和哉に抱かれてしまっていたであろう…
 容易に予想ができたのである。

 あれほど和哉の男の気持ちや想いを抑え、押さえさせていたくせに…
 あんなに簡単に昂ぶってしまい、結果、和哉の心を弄んだカタチにしてしまった。

 本当に最低だわ…

 一体、わたしは、何がしたかったのか…

 わたしの心には、自虐の想い、背徳感、そして罪悪感等々が、浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返していたのである。

 せめて明日、明日だ、和哉に贖罪をしよう…

 ちゃんと謝ろう…

 それに…

 それに、明日こそタダでは済まなさそうな予感がしていたのである。

 今夜の流れの明日なのだ…

 何かが起こる予感しかしない…

 いや、起こるであろう…
 それを必然な流れにわたしがしてしまったから。

 だけど、それでもわたしはどうしても、お墓参りがしたいのだ…
 復活したわたし自分自身を、ゆうじの墓前で報告し、見てもらいたいのである。

 まずはお墓参りなのだ…

 そしてその後の…

 言い訳を考えておかなくては…

 



 

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