
シャイニーストッキング
第7章 絡まるストッキング6 和哉と美冴2
85 揺れる心
『あっ、いえ、あ、そのぉ、どおしてるかなぁって…』
「あ、はい、実は…
元カレと会ってました」
敢えて話しが盛り上がると思い、わざとそう言った。
そして、これは事実でもある…
『えっ、そ、そうなのっ、電話大丈夫なんですか?』
すると彼女は慌てた感じで返答をしてきた。
「あっ、はい、大丈夫ですよ、ちょうど今別れたところですから」
それはあながち嘘ではなかったのだ。
この電話が絶好なタイミングの電話には違いなかったから…
いや、気まずい雰囲気になるところを避けられるタイミングでもあり、助かったといえた…
そしてわたしはもっと話しをしたいと思い始めてきていたのである。
『ならよかった…』
「はい、あのぉゆかりさん、今、ちょうど帰宅途中なんで、家に着いたら掛け直しますよ…」
と、わたしは当たり障りない感じでそう伝え、ひとまず電話を切ったのだ。
このまま、和哉のアパートの玄関で長電話をするわけにもいかなかったし、向こうも彼女と電話で話しているし…
それになによりこのお互いの絶妙なタイミングでの電話の着信によって、わたしの欲情の昂ぶりがスッと消え、気持ちが途切れたのであった…
そしてこのタイミングで僅かだった理性がメスの欲情の想いと入れ替わったのである。
さっきまでの、正常な理性が支配していたわたし自身に戻ったといえるのだ。
このタイミングを逃すわけにはいかない…
この電話を言い訳にして退散しよう…
わたしは仕切りのドアを開く。
「あっ、うん、じゃ、また…」
和哉はわたしの姿を確認すると、慌てて電話を切ったのだ。
「あっごめん、別に切らなくても良かったのに…」
「あ、いえ…」
そして和哉はそう返事をすると、わたしの変化を察したらしく、少し曇った顔になる。
「じ、じゃあ、わたし、帰るわね…」
わたしは、努めて、精一杯、明るく、普通の声のトーンを意識して、そう言った。
「えっ…」
すると和哉は、覚悟はしていただろうが、動揺の声を漏らし、そしてわたしを見つめてくる。
その目は一気に、哀しそうな色に変わったのだ…
そして、スッと手を伸ばし、わたしの手を握ってきた。
ああ…
その手に心が揺れてしまう。
でも…
でも…
これでいいんだ…
これが正解なんだ…
『あっ、いえ、あ、そのぉ、どおしてるかなぁって…』
「あ、はい、実は…
元カレと会ってました」
敢えて話しが盛り上がると思い、わざとそう言った。
そして、これは事実でもある…
『えっ、そ、そうなのっ、電話大丈夫なんですか?』
すると彼女は慌てた感じで返答をしてきた。
「あっ、はい、大丈夫ですよ、ちょうど今別れたところですから」
それはあながち嘘ではなかったのだ。
この電話が絶好なタイミングの電話には違いなかったから…
いや、気まずい雰囲気になるところを避けられるタイミングでもあり、助かったといえた…
そしてわたしはもっと話しをしたいと思い始めてきていたのである。
『ならよかった…』
「はい、あのぉゆかりさん、今、ちょうど帰宅途中なんで、家に着いたら掛け直しますよ…」
と、わたしは当たり障りない感じでそう伝え、ひとまず電話を切ったのだ。
このまま、和哉のアパートの玄関で長電話をするわけにもいかなかったし、向こうも彼女と電話で話しているし…
それになによりこのお互いの絶妙なタイミングでの電話の着信によって、わたしの欲情の昂ぶりがスッと消え、気持ちが途切れたのであった…
そしてこのタイミングで僅かだった理性がメスの欲情の想いと入れ替わったのである。
さっきまでの、正常な理性が支配していたわたし自身に戻ったといえるのだ。
このタイミングを逃すわけにはいかない…
この電話を言い訳にして退散しよう…
わたしは仕切りのドアを開く。
「あっ、うん、じゃ、また…」
和哉はわたしの姿を確認すると、慌てて電話を切ったのだ。
「あっごめん、別に切らなくても良かったのに…」
「あ、いえ…」
そして和哉はそう返事をすると、わたしの変化を察したらしく、少し曇った顔になる。
「じ、じゃあ、わたし、帰るわね…」
わたしは、努めて、精一杯、明るく、普通の声のトーンを意識して、そう言った。
「えっ…」
すると和哉は、覚悟はしていただろうが、動揺の声を漏らし、そしてわたしを見つめてくる。
その目は一気に、哀しそうな色に変わったのだ…
そして、スッと手を伸ばし、わたしの手を握ってきた。
ああ…
その手に心が揺れてしまう。
でも…
でも…
これでいいんだ…
これが正解なんだ…
