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シャイニーストッキング

第6章 絡まるストッキング5 和哉と健太

 72 朝のキス

「ああ、いい香り…」
 ゆっくりとコーヒーが落ちていくにつれコーヒーの香りが拡散し、心を穏やかに、和ましてくれる。

 そういえばゆうじの煎れたコーヒーは絶品だったなぁ…

 健太に愛を実感した途端に、まるで比較するかのようにゆっくりとの想い出が蘇ってきてしまっていた。

 ダメよ、ゆうじと健太は、全く別人、まるでタイプが違うのだから…

 比較する事自体が間違いなのである。

 落ち着けわたし…

 この早い恋愛の展開に舞い上があってしまっているようであったのだ。

 よし、コーヒーでも飲んで落ち着こう…

 時間は午前9時であった。

 起こしてもいいかな?…

 なぜか二人でコーヒーが飲みたくなってきていたのだ。
 
 冷蔵庫は空っぽだし、わたしの着替えもないし、コーヒー飲んで一緒にどこかにサクッと買い物でも行きたいな…

 わたしはどんどんと気持ちが昂ぶってきていた。

 あ、これは…

 やばいのか…

 このハイテンションは例の自律神経の違う面での昂ぶりなのだろうか。

 違うわよね、大好きな男と一緒に朝を迎えたのだ、テンションが昂ぶるのは普通だよね…

 少しだけザワザワしてきた。
 だが、気づいたのである。

 あ、そうよ、今は健太と一緒にいるんだっけ…

 大丈夫だ、心配ない、いざとなったら健太に甘えればいいんだ…
 と、そう想いながら彼を起こしに中二階の寝室へとらせん階段を登っていく。
 
 トントントン…


「あっ、健太さん起きてたの…
 おはよう…」
 わたしはそう言いながら、思わず近づき、頬にキスしてしまう。

 あぁっ…

 わたしは無意識にキスしてしまったのだ。
 
 ええ、な、なんで…

 一気に胸が高鳴ってしまった。

「とりあえずコーヒー煎れたけど…」
 わたしはそう言って、さっきのキスを誤魔化した。

「あ、すいません…」
 と、健太はしおらしい返事をしてきた。

 あ、かわいい、彼氏ヅラしないんだ…

 そんな健太の返事に、胸がザワザワとドキドキと昂ぶってしまう。


「冷蔵庫の中、空っぽなんだもん、朝ごはんは作れなかったわ…」
 と、とりあえず必死に動揺とときめきを隠す。

 健太はなぜか黙って頷き、なんとなく高揚している感じがする。

「コーヒー飲むでしょ」
 健太は頷き、起き上がる…






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