
シャイニーストッキング
第4章 絡まるストッキング3 大原本部長と佐々木ゆかり部長
112 横浜の海の理由
わたしは本当は中華でも、和食でも、イタリアンでも、この大原さんと二人で過ごせるのなら食事は何でもよかったのだ。
ただ、どうしても今夜は、この横浜に、横浜の海が見たかったのである。
「そうだ大原さん、海に行きましょうよ…」
わたしは食事が終わり、彼を海に誘ったのだ。
「海か…」
彼はそう呟き、わたし達は席を立つ。
この中華街から海側の山下公園までは徒歩でも15分くらいであった、そしてわたし達は歩いて山下公園へと向かう。
折しも今夜は台風が接近しつつあり、熱帯低気圧による生暖かい海風が、そして海独特の香りの潮風がやや強く吹き抜けていた。
「うわぁぁ、綺麗…」
わたしは彼と腕を組み、体を預け、横浜の夜の海を眺めて感嘆の声を上げる。
目の前には山下埠頭の桟橋の灯りが、みなとみらいの近代的なビルの灯りが、遠くにはレインボーブリッジが見えていた。
時折強く吹く、生暖かい潮風がわたしのショートの髪を、頬を撫でていく。
「うん、確かに綺麗だが、律子の部屋の夜景も綺麗じゃないか」
彼はこの山下公園から望む、夜の横浜の海を見てそう呟いてきたのだ。
「ええー、もう、大原さんは、ロマンチックじゃないんだからぁ…」
風が、この海風が違うんです…
そう云ってわたしは膨れ顔をして彼を見た。
確かに風景としたら30階の高層からの方が、遙か水平線上まで見渡せるから綺麗かもしれない、だが、高層階では風が強いので簡単に窓をあけられず、こうした海風を感じる事が出来ないのである。
そして、今夜はただ単に海が見たい訳ではなかったのだ、わたしの個人的な思い出ではあるのだが、今日の、今夜のこの横浜の、このまさに山下公園から夜の海を望む、という事が大切なのである。
わたしの大切な思い出…
それは母と離婚して、離れ離れになった最愛なる父親との最後の思い出の場所、そして、今夜8月7日、この日なのであった…
わたしの両親は今から16年前に離婚をした、わたしが小学6年生の時であった。
そして最後の父親との思い出の場所がここ、この横浜の山下公園のこの海なのである…
わたしは本当は中華でも、和食でも、イタリアンでも、この大原さんと二人で過ごせるのなら食事は何でもよかったのだ。
ただ、どうしても今夜は、この横浜に、横浜の海が見たかったのである。
「そうだ大原さん、海に行きましょうよ…」
わたしは食事が終わり、彼を海に誘ったのだ。
「海か…」
彼はそう呟き、わたし達は席を立つ。
この中華街から海側の山下公園までは徒歩でも15分くらいであった、そしてわたし達は歩いて山下公園へと向かう。
折しも今夜は台風が接近しつつあり、熱帯低気圧による生暖かい海風が、そして海独特の香りの潮風がやや強く吹き抜けていた。
「うわぁぁ、綺麗…」
わたしは彼と腕を組み、体を預け、横浜の夜の海を眺めて感嘆の声を上げる。
目の前には山下埠頭の桟橋の灯りが、みなとみらいの近代的なビルの灯りが、遠くにはレインボーブリッジが見えていた。
時折強く吹く、生暖かい潮風がわたしのショートの髪を、頬を撫でていく。
「うん、確かに綺麗だが、律子の部屋の夜景も綺麗じゃないか」
彼はこの山下公園から望む、夜の横浜の海を見てそう呟いてきたのだ。
「ええー、もう、大原さんは、ロマンチックじゃないんだからぁ…」
風が、この海風が違うんです…
そう云ってわたしは膨れ顔をして彼を見た。
確かに風景としたら30階の高層からの方が、遙か水平線上まで見渡せるから綺麗かもしれない、だが、高層階では風が強いので簡単に窓をあけられず、こうした海風を感じる事が出来ないのである。
そして、今夜はただ単に海が見たい訳ではなかったのだ、わたしの個人的な思い出ではあるのだが、今日の、今夜のこの横浜の、このまさに山下公園から夜の海を望む、という事が大切なのである。
わたしの大切な思い出…
それは母と離婚して、離れ離れになった最愛なる父親との最後の思い出の場所、そして、今夜8月7日、この日なのであった…
わたしの両親は今から16年前に離婚をした、わたしが小学6年生の時であった。
そして最後の父親との思い出の場所がここ、この横浜の山下公園のこの海なのである…
