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シャイニーストッキング

第17章 ほつれるストッキング 1         佐々木ゆかり

 50 すべては…

 いつの間にかにこの宴会場に、不思議な構図が生じていた…

 彼、大原常務の隣に越前屋さんが座り…

 松下秘書の両隣に、武石健太と伊藤敦子が座り…

 そして、その松下秘書の視線を遮る様に、美冴さんがわたしの前に立ち…
 
 挙げ句には、杉山くんまで煽て上げ、松下秘書の元へと向かわせた。
 
 それに、また…
「さぁ、佐々木室長、よろしくお願いします」
 と、次々にビールを注ぎにくる、企画室の各セクションの責任者を上手に裁いてまでくれている。
 
 そう、これらのすべては…
 わたしを思ってくれているが為の、美冴さんによるものなのである――

「あぁ、小島さん、わざわざすいません」
 人事部主任の彼が、そう、ビールを注ぎに来た。

「いやぁ、いい飲み会ですねぇ…
 これで、みんなとの小さな壁が無くなりますよぉ」
 彼はにこやかに、そう言ってくれる。

「そうですかぁ、なら、よかったです」

「あ、はい、さっき大原常務にもご挨拶させていただけたし…
 こうしてコールセンター部の若いメンバーとも話せるし…」

「なら、よかったです」
 と、わたしは美冴さんのお陰で、とりあえず松下秘書への、あのシャネルの疑念を端に寄せられ、すっかり仕事モードへと切り替えられていた。

 それも、これも、すべては、美冴さんのフォローのお陰である――

「初めてお話させていただきますぅ…
 システム情報部副主任の堀内ですぅ…」

「あ、お顔は拝見してますが……」
 …等々、なかなか話す機会もなかった、メンバーが次々と挨拶に来てくれ、本当に余計な想いが消えつつあった。

 それに、彼はすっかり越前屋さんに張り付かれられ…
 いや、きっと、昨日の様子を鑑みると…
 どうやら、越前屋さんが隣にいて、気楽で、却って助かっているみたいである。

 すべては、美冴さんの画策通りに、感じられる―――

『今夜、ちゃんと彼と話してみなよ…』
 ふと、美冴さんの言葉が、浮かぶ。

 そう…
 今夜、この後、ちゃんと話したい――

「なかなか、杉山粘ってますよぉ…」
 ふと…
 鈴木くんが、そう話してきた。

「え、あ、うん…」
 チラと目を向けると、松下秘書を囲む様に、健太と敦子と杉山くんが座り…
 それを冷静に見ると…
 それは美冴さんによる、松下秘書への包囲網に、感じられる。


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