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シャイニーストッキング

第15章 もつれるストッキング4    律子とゆかり

 100 観察の目

 そう、そんな荒唐無稽で被害妄想的で一方的な思い込みに違いなく、そんな勘違いであり、思い込みが過ぎた想いなのであろう。
 
「………それでぇ、そのぉ美冴さんのぉ持っていたプログラムが、中島のプログラムとぉ、うまくリンクできてぇ………」
 と、越前屋さんが熱く説明を語り始めてきた間に、わたしはそんな想いを巡らせ、そしてゆっくりと…
 松下秘書と彼、大原常務の顔を、表情を交互にチラチラと、なるべく意識させないように眺め、いや、観察をし始めていく。

 そう、これは観察の目…

 あの『黒い女』時代の美冴さんの魅力に気付いた頃によく、コールセンター対応中の彼女を見ていた様な感じの目…

 また、あの『黒い女』時代の美冴さんの朧気な目といえる不思議な目の色や翳のあるアンニュイな魅惑の雰囲気に気付き、よく見ていたあの頃の観察の目…

 それにきっと、おそらく、いや、ほぼ間違いなく、彼女、松下秘書のこの魅惑さに、いいや、あの美しい淫靡な魅力に魅せられてしまっている彼、大原常務のこの狼狽えと動揺丸出しの様相をゆっくりと観察している目…

 そんなわたしの観察の目といえるのだ。

 そしてその通りの彼の目、視線、表情、狼狽えぶりが、正に露骨に顕れているといえ…
 だって、なぜなら、彼はこの間、ほぼ、わたしの顔を、いや、わたしの目を見てこないのだから。

 越前屋さんの話しを聞き、時折頷きながら、ほぼ彼女の顔を見つめているのである…
 だがそれは聞いているフリであろう事は明白なのだ。

 それは、彼の目を見れば一目瞭然といえ…
 なぜなら彼は嘘、ウソが下手だから。

 じゃあその嘘、ウソとはいったい何なのか?…
 と、いえば、この松下秘書との関係を意味するのであろうと思える、いや、至極、簡単に分かりやすいのである。

 それについては間違いないであろう…

 だけど、なぜかわたしにはそれ、そう、簡単にいえば彼の浮気という関係についてはさほど気にならないのだ。

 なぜって…
 それは浮気、浮気心であるから…

 そしてあまりにもこの松下秘書のストッキング脚が、美しくて魅惑的であるのを分かってしまっているから…

 だってそれに、彼、大原常務、いや、わたしの愛する大好きな大原浩一という男は、強い、ストッキングフェチ、ストッキングラブな性癖嗜好の男であるから…

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