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シャイニーストッキング

第15章 もつれるストッキング4    律子とゆかり

 62 複雑で色々な思惑が蠢く…

「うん、それは嬉しいわね…
 あ、午前中まではわたしもマニュアル作成に参加するから、彼女が来たら呼んでね」
 わたしはそんな松山さんの進捗状況の話しを聞き、そう応え、部長室へと入る。

 そしてまずはコールセンター部の部長としての細々とした決裁関係の書類整理をしていく…
 部長業務も何がと書類関係が多いのだ。

 だが、わたしはあくまでも本職は『○○商事株式会社コールセンター部』の部長であり…
 そして『新規プロジェクト企画室室長』という肩書は、本社商事会社が吸収合併完全子会社化した保険会社へ出向し常務取締役に就任したこの本社の本部長である大原浩一、そして本社の山崎専務からの少し複雑で色々な思惑が蠢く経過による肩書なのである。

 かといって決してこの『新プロジェクト企画』を蔑ろには出来ないし、いや、むしろ色々な意味でのこのわたしの、ううん、彼でありわたし自身の後ろ楯として存在している本社本部長であり、出向している保険会社の常務取締役としての大原浩一にとっての二人のこの先の未来を左右する大切な企画、仕事といえ…
 そして尚且つ、この本職であるコールセンター部での新たなこの『新規業務』も、わたし自身の更なる飛躍への最重要な仕事なのだ。

 だからどちらにしても重要であり、手抜きが出来ない大きな仕事であるから、こうして平行して忙しい…

「ふぅぅ…」
 そんな想いを巡らせ、書類整理をしていると…

 ブー、ブー、ブー、ブー…
 午前9時15分、携帯電話が着信のバイブを震わせてきた。

「あっ」
 わたしは一瞬、その着信が待ちに待っていた彼、大原常務からの着信だと思い一気に高鳴ったのだが…

 それは知らない、未登録の携帯番号からの着信であった…


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