テキストサイズ

シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

136 ヤキモチという感情に…

 私はそわな律子のヤキモチという類のかわいい感情に気付いた瞬間の今、急に、いや、更にこの律子を愛おしく感じてきて…

「律子…」
 思わず近寄り、肩を抱き寄せ、抱き締め、名前を囁いた。

「あ、え、んん…」
 すると咄嗟のそんな私の無意識の動きが、律子の一瞬の不意を突いたのだろう…
 小さく慌てた声、いや、喘ぎに近い声を漏らし、スッと私にカラダを預けてきたのだ。

「律子…かわ…あ、いや、すまなかった…」
 思わず『可愛いヤツ…』と囁きそうになってしまったのだが、慌ててそれを制し、今夜の今までの余計な経緯を謝罪した…
 それに、迂闊にも『可愛いヤツ…』なんて囁いてしまったら、万が一、余計に律子のヘソが曲がってしまう様な気もしたから。

 すると…
「え、そ、そんな…
 わたしは怒ってなんかいませんから」
 と、慌てて、少し気恥ずかしそうに返してきた。

 そしてスッと首をコチラに向けてきたから…
 私はその瞬間に、唇を合わせていく。

「んっ、ぁ……」
 その私の動きは一瞬の律子の抗いをさせないくらいの早わざであったのだが…

「……んん、も、もおぉ…」
 律子は必死に首を振り、そんな私の唇を振り切り…

「そんな……あ、いや…
 は、早くお着替えになってください…     
 バーに行くんだからぁ…」
 
 これはつまり…
『こんなキスで誤魔化されないから…』
 という律子の必死の抵抗であると私には感じられ…

『バーに行くんだからぁ…』
 という珍しく敬語が消えた言葉遣いに、律子の本心の想いを感じられ…

「ふ………」
 私は余計にそんな律子を可愛いく、いや、愛おしく感じてしまう。

「あ、も、もおぉ、早く着替えてっ」

 そして律子はそんな私の漏らした笑みに、いや、その笑みの意味に気付いたのだろう…
 更に可愛いく、口を尖らせて呟いてきた。

「あぁ、うん」
 私はそんな律子が可愛いくて、愛おしくて…
 早く愛したくて堪らなくなってきてしまう。

 そしてまた、その可愛いヤキモチに、ホッと心を撫で下ろす。

 よかった…

 本当によかった…

 万が一にも間違いをしなくて…

 全てを簡単に無くし、いや、失ってしまうところであった…

 だが逆に…

 

ストーリーメニュー

TOPTOPへ