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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

103 誘惑の動き…

 彼女は私に向けて更にそのストッキングの爪先をスゥっと動かしてきたのだ。

 そしてその動きは間違いなくストッキングフェチの視線を向ける私に対しての反応の動きであるという事実が…
 彼女の目を見て理解できるのである。

 そう彼女もまたストッキングフェチという性癖を理解している女性の一人といえる様なのだ…
 そして私に一瞬でも見つめられているのを知ってか、艶やかな濡れた目を無言で私に向けてきた。

 いや、その濡れた艶やかな目はある意味…
 私を誘っている目に感じる。

「…………」

 どう考え、鑑みても律子のストッキング脚の方が美しく、魅惑的であるのは間違いないのだが…

 そして脚のラインの美しさ、いや、ストッキング脚の美しさも遥かに律子の方が上であり、いいや格上といえるのだが…
 なぜかどうしても視線が外せない。

「大原常務、明日はどうされますか?」
 すると、そんなストッキングフェチが故の心の葛藤など知る由もない永岡支社長が不意に明日の予定を訊いてきた。

「あ、はい…」
 私はそんな不意の問いかけにようやく視線を外せ…

「いちおう午前中に新潟支社の実績等を見させてもらって、その後に帰ろうかなと…
 なにぶん本社でも常務に就任したばかりなので忙しくて…」
 本当は、午後からは少しだけ律子と新潟市内の名所を巡ろうと思っていた、いや、そう律子に提案されていたのだ。

「あ、そうですか?
 うん、竹下くん?」
 永岡支社長は秘書の竹下くんに視線を向ける。

 すると…
「はい、その明日のご予定は既に秘書の松下さんから伺っておりまして、総務課や営業課には通達済みです」
 と、言いながら、更にスゥっと脚を私に向けて伸ばしてきたのだ。

 え…

 その彼女の脚の動きは正に私に対しての誘い、いや、誘惑的な動きに感じられる。

 なぜならばその伸びてきた脚先、つまりは爪先が、今正に、畳に置いてある私の手の指先目前まで迫ってきているから…

 さあ、触って、触りたいんでしょう…
 と、言わんばかりの直ぐ傍まで迫ってきているのだ。

 もちろん律子のストッキング脚の方が遥かに魅力的なのだ…
 だが…
 ストッキングフェチの目の前にこのストッキング脚の爪先が迫ってきたのならば…
 昂ぶらないストッキングフェチは居ない、いや、いる筈が無い。


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