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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

 97 美人秘書という…

 そもそもが、紆余曲折の流れがあっての私の常務就任であり、世間一般的な想像の遥かに上のレベルの、いや、思いもよらないような流れと律子の存在感からの秘書就任ではあるから、同じ秘書としても律子と永岡支社長専属秘書の彼女の存在は全く意味は違うのではあるが…

 どうやらこの目の前の永岡支社長専属秘書の彼女の存在意義というか、存在感は、いわゆる世間一般的なそれもある意味ゲスな意味合いからの秘書という存在価値なのではなかろうか?
 と、どうしても私には思えてならないのである。

 それは秘書=愛人という図式… 
 つまり世間一般的によくある様な官能、エロ小説、AV、映画等にあるシチュエーション的な意味といえる。

 だけど周りからはいや、私にしたって…
 この律子の秘書就任のカラクリと流れは世間一般的には知られない訳だし、分からない筈であるから、私にとっての松下律子という専属秘書の存在価値は世間一般からの見方は、この永岡支社長専属秘書と同じな様に思われるのであろうし…
 そして律子の美人さからも更に拍車が掛かり、余計な、あらぬ誤解をも生んでしまうのも分かってはいる。

「さぁ、大原常務様、どうぞ…」
 だが、今のこの永岡支社長専属秘書の彼女がビールを注ぐ様子は…
 私にはクラブホステスにしか見えないのだ。

 だからこの秘書同席の意味は、もちろんその意味、その意義で間違いはないであろう…

「え、そういえば、大原常務の秘書さんは?」
 そしてそう永岡支社長が訊いてきた瞬間に、その私の考えは確信したといえる。

「あ、いや、とりあえずもう業務外になるので先にホテルに帰しましたよ」
 そんな、僅かに嫌味を含めたつもりで答えたのだが…

「あぁ、そうなんてすかぁ」
 と、全くその嫌味は通じなく、意に返さない感じで応えてきたのである。

「え…と、あ、そう、松下さんでしたよね、凄い美人さんですねぇ」

 そして、この永岡支社長専属秘書の彼女もそう言ってきたのである…
 
「え…」

 その彼女の言葉は、つまりは…

 自分のそんな存在意義、意味、価値観を理解し、認めた上での言葉だと私には感じられたのだ。
 
「さすがは東京の女性ですよねぇ…
 まるでモデルさんみたいに綺麗でぇ…」

 私にはそんな彼女の言葉の意味が理解できないでいた。



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