テキストサイズ

シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 64 敦子の想い(1)

「あ、や、はぁぁっくうぅぅ……………」

 憧れの佐々木ゆかり部長兼準備室室長は…

 いや、あのわたしの青春の原点ともいえる存在の、あの『ゆかりお姫さま』が、わたしに抱かれ、そしてこの指先の愛撫により…

「っくうぅぅ……ぅ…ぅぅ……………」
 墜ちていった。

「…………ぅ………ぅぅ………………」

「…………………」

 わたしは挿入れていた指先をスッと抜き、上体をゆっくりと起こし…
 そんなゆかりお姫さま、いや、ゆかり姫を、ぐったりと翔んでしまった彼女を見つめていく。

 佐々木ゆかり部長…

 佐々木ゆかり準備室室長…

 ゆかりお姫さま…

 ゆかり姫…

 憧れのわたしのお姫さま…

「ふうぅ…」
 わたしは喉の渇きを覚え、テーブル上に置いてある飲みかけのスパークリングワインをグイッと一気に飲み干す。

 そしてふと顔を上げ…

 リビングの窓を…

 真っ黒な夜を映す窓を見つめながら…
 
 あの8月8日の…

 越前屋の叔母さんの居酒屋での…

 初めて佐々木ゆかり部長兼準備室室長に紹介された、いや、あの憧れのゆかりお姫さまに奇跡敵な再会をしたあの夜の…

 あの夜を思い返していく。
      (1551P〜)



 あの夜…


『初めまして、伊藤敦子と申します…』
 
『初めまして、わたしは準備室長の佐々木ゆかりです』

『こ、今夜は急なお願いにも関わらず、こうして面談をしてくださり…』
 わたしは平身低頭な勢いで頭を下げて挨拶をした。

 だってそれは、わたしにとってあまりにも衝撃な出会い…
 いや、奇跡の再会であったから。


「あ、いえ、そんな堅苦しい挨拶はもういいから、お座りください」
 と、少し明るく言った。

「は、はい、失礼します」
 そして泣き出してしまうのではないか…
 という位に心を震わせていた。

 なぜならば…

 わたしの目の前にあの『姫』が、いや、あの憧れの『ゆかりお姫さま』がいるから…

 あの『ゆかり姫』が…






ストーリーメニュー

TOPTOPへ