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シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 63 伊藤敦子(29)

 先の美冴さんとの逢瀬により、心の中に芽生えたビアンという秘かな、そして新たな感情が…
 無意識にこの伊藤敦子という女の、ビアンという性の魅力を感じ取り…
 魅かれ、惹かれてしまっていたのだと思われる。

 なぜならば、いや、その証拠に…
 昂ぶりに眠れない夜の一人弄りの慰みの絶頂感の瞬間に…
 なぜか敦子を、ううん、彼女の存在を知ってからは脳裏に浮かべイッた夜が何夜となくあった。

 それまでの殆どは、彼の顔、笑顔、存在感、そして特有な甘い体臭を思い浮かべていたし…
 美冴さんと関係を持ってから、でもそれは一夜のみ…

 なのに軽く話しをした程度の伊藤敦子を…
 彼女の本質なんて全く分かっていない時点での、そう、それはまるで…

 一目惚れみたいな…

 わたしの心の奥深くに芽生えたビアンという秘かな感情が…

 伊藤敦子というホンモノのビアンという性を無意識に嗅ぎ、察知をし、魅かれ、惹かれ、求めていたのだと思われるのだ。

 だからつまりは、美冴さんとの関係とは全く、いや、根本的に違い…

 美冴さんより敦子がいい…
 
 いいに決まっている。

「あ、敦子が…い、いい……」

「うふ、あら、そう…嬉しいわぁ」
 すると敦子はそう囁きながら、クイッとわたしの顔を横向きにし、そしてキスをしてきた。

「あ…」
 わたしはそんなキスひとつにも激しく心を揺るがせ、震わせ、身悶えしてしまうほど昂ぶってしまっていたのだ。

 そう、本当に敦子の指先ひとつに完全に心とカラダを融ろかせてしまっていたのである…

「…ふ、わたしも、今までのどのパートナーよりも…
 いちばんよぉ…
 だって、ゆかり姫がぁ…

 わたしのぉ…原点なんですもん…」

 敦子はそう囁きながら、更にグリグリと、ヌチャヌチャと中の指先を激しく動かし、グラインドさせ…

「あ、や、はぁぁっくうぅぅ……………」

 わたしは何度目かの激しい絶頂感に…

 墜ちていく…
 

「っくうぅぅ……ぅ…ぅぅ……」

 そして、頭の中が真っ白になり…

 心に引掛っていた彼の、大原浩一常務の専属秘書の疑惑の不惑な想いなんて…

 どころかに飛んていってしまう…

 いや、何もかもが翔んでいった…





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