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シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 45 伊藤敦子(11)

「本当に大丈夫ですからぁ…
 ベッドくらいは自分で用意しますからぁ…」

 お酒の酔いも少しあったし、このベッドの事もあったから、わたしは…
 伊藤敦子さんをこの部屋に迎えるという、少し複雑な緊張感がすっかりと解れていた。

「あ、じゃあ、シャワーを、シャワーを浴びようか」

「はい、じゃぁ、わたし荷物もありますから、佐々木部長がお先に入ってくださいませ」

「え、そう?」

「はい、ぜひ佐々木部長がお先に…」

「うん、じゃあそうするね、あ、そう明日からは色々遠慮無しでね、うん、遠慮しないでね…
 ていうかぁ、ウチでは…うーん…
 ゆかりでいいから」

「え、あ、はい、じ、じゃあ、ゆ、ゆかり…部長さん…」
 
「ううん、部長は要らないわ」

「は、はい、じゃ…ゆかり…さん…」

 わたしは本当に、少し酔っていた…

 だけどこの酔いのお陰で、この伊藤敦子さんと二人であるという緊張感が…
 そして、二回の一人慰みの時の恥ずかしい想いの気まずさ等も…
 薄らいでいたのだ。

「じゃあお先に入っちゃうわよ…」

「はい、ぜひ…」

 そしてわたしと伊藤さんの二人はとりあえず、順番に、交互に、シャワーを浴びた…


「ふうぅ、シャワー頂きましたぁ」

「うん、ほら、湯上がりに少しどう?」
 と、わたし自身が湯上がりにと飲んでいたスパーリングワインを進める。

「はい、ありがとうございます、いただきます」

「お酒だけは少しあるのよ」
 わたしは少し照れ隠しで、そう言いながら、ワイングラスにスパーリングワインを注いでいく。

「じゃ、カンパイ」

「はい」

 チン…

 そしてワイングラスを合わせる。

「ふうぅ、ま、完全にリラックスはできないかもでしょうけど…
 ウチの中では無礼講でよろしくね」

「は、はい…」

 わたしはこのシャワー上がりのこのお酒のせいで…
 すっかり心地よく酔ってきていた。

 だけどこの酔いのお陰で変な緊張感が無くなり、リラックスさえできていた…
 いや、美冴さんと健太との食事のお陰もあったのだと思う。

 だが…

 この酔いが、わたしを…

 迷宮へと、いや、更なる深い迷宮へと…

 誘なう事となる…





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