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シャイニーストッキング

第10章 絡まるストッキング9      美冴とゆかり

 173 ビアンな夜(75)

 ゆかりさんに嘘を、ウソを言った。

 本当は…

 本当は、あの映画の濡れ場のシーンを見て、この前、彼に、大原浩一本部長に抱かれ、愛されて『黒い女』から覚醒したあの逢瀬をダブらせて観ていたのだ…
 そして疼きを激しく昂ぶらせていたのである。

 しかしゆかりさんは…

「わ、わたしは…
 わたしは…女優さんが美冴さんにダブったくらいだから…
 そして男優さんは彼に見えてしまって…
 そこからは…
 まるであのベッドシーンの濡れ場が、全部、美冴さんと彼との姿に…
 ダブって見えてきちゃって…」
 と、言ってきたのだ。

 一瞬、心の中を覗かれてしまったのか…
 と、ドキリとしてしまう。

 しかしのその想いは、わたしの想いとは少し違う意味からであったのだ。

 それは…
 わたしに対する『嫉妬心』という想いからであった。

 それは、その後すぐにわかったのだ…

「えっ、そうなの」
 そう呟くと頷き、わたしを見てくる。

 なんて…

 なんてかわいいんだ…

 あ、あら…

 あの昔によくわたしに向けていた憧憬の目をしてきたわ…

「あ、あら…」

 そうか…

 そういうことなのか…


 この憧憬の目は…
 過去の『きーちゃん』や『和哉』の様な憧れの憧憬だけではなくて…

 そんな『嫉妬心』の意味もあったのか…

 そういえば、今まで『嫉妬』したことが無かったって云っていたなぁ…

 だから憧れも嫉妬もごちゃまぜになっての、この憧憬の目なのか…

 つまりはゆかりさんの『ジレンマ』という想いの現れなのか…


「あら…ふふ…」

 それでわたしは、あの過去の
『黒い女』時代から感じてきていたあの『憧憬の目』の意味を完全に理解したのだ…

 そして…
 ゆかりさんがかわいくて仕方なく感じてきたのである。

 だから、つい…
 笑みがこぼれ、笑い声も漏らしてしまったのだ。

 かわいいわ…

 たまらないわ…

 ああ、きーちゃんや和哉みたい…

 そう思った瞬間であった。

 ズキズキズキズキ…

 突然、わたしの心にスイッチが入ったのだ。

 そして昨夜の…

 あの禁断の二人の抱擁の痴態が…

 快感の昂ぶりと絶頂感が…

 心に蘇ってきたのである。

 ズキズキズキズキ…

 一気に疼きが昂ぶってきた。
 
 



 

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