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シャイニーストッキング

第10章 絡まるストッキング9      美冴とゆかり

 62 ビアンな夜(3)

 そしてわたしはその撫で上げてきているゆかりさんの右手を思わず掴んでしまう…

 すると妖艶に濡れた目が…

 瞳が…

 わたしを見つめ、惹きよせ、魅きよせてくる…


「ぁ……」

 心が蕩ける…

 そして掴んだゆかりさんの指先が、わたしの指に絡んできた…

 ドキドキドキドキ…

 ズキズキズキズキ…

 その指先の感触がまるで二人の間のこれまでの心の絡みや、わだかまりの感触の様に感じてきたのである。

 想い返せばこの三カ月間、ゆかりさんの目を感じた事からわたしはより以上に彼女の存在と存在感を意識し、そしてその目に自らの心を揺らがせ、疼き、そして過去の貴恵と和哉に通ずる『憧憬』という想いを重ね…
 まるで同性愛者の様にゆかりさんをより意識し、心で求めてきていたのだ。

 しかしそれが…

 その想いが…

 こうして惹きよせ、魅かれる事に通じてきた…

「…………」

 もうわたし達の間には言葉は必要ない…

 いやこのカラダの疼きの昂ぶりの命ずるままに…

 そして…

 揺らぐ心の衝動に従うだけなのである…

 そして…

 わたし達は、どちらかともなく唇を寄せていく…

 
 ドキドキドキドキ…

 あの神宮外苑の銀杏並木通りでの突然のキスはわたしからであった…

 あの夜は…

『お友達になって欲しいの…』
 と、いうゆかりさんの突然の慟哭の言葉に、わたしの心が揺れ、そしてその時の彼女の目の奥深くに、あの高校時代の禁断の昂ぶる想いによりお互いを慰め合った後輩の『貴恵』の存在感を感じ、思わず、そして無意識にキスをしてしまったのだが…

 だが…

 今夜は違った…

 まるで愛撫の如くにゆかりさんの指先の触れる程度の指先に感じ、昂ぶり、疼き、蕩けてしまい、いや、その快感により心とカラダを蕩かしてしまい…

 そして…

 まるで磁石のプラスとマイナスが引き合うかの如くに…

 どちらかともなく、いや、違うのだ…

 お互いの想いと衝動が、見つめ合った瞬間に…

 惹きよせ…

 魅きよせられ…

 唇を引き合わせていったのだ。

 
「は………」

「あ………」


 
 そしてわたしはゆかりさんに肩を抱抱かれ、そして抱き寄せられ…

 唇を…

 舌先を…

 貪られる様にキスをしていく…

 いや、された…




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