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シャイニーストッキング

第10章 絡まるストッキング9      美冴とゆかり

 53 昂ぶる想い

「でしょう、マザーか、ファザーの違いだけよねぇ」
 と、ゆかりさんは笑いながらわたしの肩を抱いてきた。

 ゆかりさんには全く他意のない、女子トーク的なノリの、無意識な動きであったのはわかっている…

 だが…

「あっ…」
 
 わたしは過剰に反応してしまい、ビクッと震えてしまったのだ。

「えっ」
 そしてゆかりさんは、そんな反応をしたわたしの目を見てきた…
 
 あ、ヤバい…

 さっきわたしは、ゆかりさんに和哉との色々な過去から今朝方までの事を訊かれ、そしてわたし自身、想い返してしまい、その余韻から目を濡らし、疼かせてしまっていたのだ… 
 そしてまた、お互いに話しに夢中になり、時折触れる、肩や脚の感触に、わたし自身がそんな和哉との余韻のせいで過剰に反応し、独り昂ぶってしまってもいたのである。

 そんな、その間抜けといえるわたしの心情の揺れ動きや、心の震えや昂ぶりは、おそらくわたしの目に鏡の様に映り、そして多分ゆかりさんに見抜かれてしまっていたと思われる…
 それが故に、ゆかりさんは話題を変えてきたのだ、いや、変えてくれたのだ。

 そしてそんなゆかりさんの気遣いにより、わたしの揺らぎも落ち着いたはずだったのだが…
 そのゆかりさんの無意識な動き、触れ合いに、バカなわたしは過剰に反応をしてしまったのである。



 え…

 せっかく話題を変えてくれたのに…

 また…

 そして、ゆかりさんの目を見てしまったわたしはまた、再び…

 ドキドキ…

 ズキズキ…

 心が高鳴り、疼き、昂ぶってしまったのだ。

 ああ、ヤバい…

 どうしよう…

「ふうぅ…」
 わたしは無意識に吐息を漏らしてしまう。

 そして傍らのゆかりさんの存在を、意識すればするほどに…

 ドキドキドキドキ…

 ウズウズウズウズ…

 更に心が震え、疼きが昂ぶってきてしまうのだ。


 そして鼻腔に、ムスクのお香の甘い香りが漂ってくる…

 ああ…

 ヤバい…

 このムスク系の香り…

 それは、最愛の、亡きゆうじの思い出の香りなのだ。

 更に心が揺らぎ、昂ぶってしまう…


 ドキドキドキドキドキドキ…

 そして心の震えも激しさを増してくる。





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