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シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

189 大原本部長との電話(29)

『なんかさぁ、ゆかりの愛を強く感じられて嬉しいよ』
 彼は照れくさそうに呟いてくる。

「や…、なんか、恥ずかしい…です」
 そしてわたしは本気で恥ずかしくなってしまう。

 嬉しいような、気恥ずかしいような…

「本当にごめんなさい
 ゆっくりと愉しんでくださいね…」
 わたしはそんな照れを隠し、そして自分にもう一度言い効かせる意味でもそう言ったのだ。

『あ、うん…
 でも、本当に、あまり羽目を外さないように気をつけるよ』
 すると彼も少し落ち着いた感じで言ってきた。

 ようやく心も落ち着いてきた…

 大丈夫…

 わたしはちゃんと我慢できる…

 そして…

 絶対にバレないようにできる…
 そう、もう一度心の中でそう呟いた。

「あ、そうだ」
 すると、気持ちが落ち着いたせいもあるのか、少し前から気になっていたもう一つの思いが浮かんできたのである。

『うん、なんだ?』

「ご法事で親戚の方々とも久しぶりにお会いするんですよね」

『あ、うん、ま、そうなるな…』

「実は…
 記者会見前に少し思っていて、忙しくて言いそびれてしまったんですが…」

 そう、ずっと気になっていたのだ…

「髪の毛…
 そう、髪の毛、そろそろ切った方が良いかなって…」

『あっ…』
 すると、彼もハッと気付いたように声を漏らしてきた。

「ご親戚にも会うわけですし、地元だから、本当に久しぶりに会うお友達もいるんじゃないんですか?」

 確か、昔、彼から、幼馴染みの存在の話しを聞いた記憶があった…

 帰省すると必ず会う飲食店を経営している幼馴染みの存在を…

 そしてそこから旧友の輪が拡がっていくと…

『ああ、ありがとう、そうするよ』

「あ、はい、ぜひ…」

 愛しい男にはいつも清潔で、スッキリと、そして凜としていて欲しいのだ…

 だから、せめて髪の毛くらいのお節介は焼いてみたい…

 いや、男に対してお節介を焼くのも初めてかもしれない…





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