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シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

 190 大原本部長との電話(30)

『ああ、ありがとう、そうするよ』

「あ、はい、ぜひ…」

 愛しい男にはいつも清潔で、スッキリと、そして凜としていて欲しいのだ…

 だから、せめて髪の毛くらいのお節介は焼いてみたい…

 いや、男に対してお節介を焼くのも初めてかもしれない…



『また明日にでも電話する…』
 すると、彼はそう言ってきた。

 もう、そろそろ切り時だ…

 悪戯にダラダラと話しても余計な話しをしてしまうかもしれない…

「あ、はい…
 電話待ってますね…」
 わたしは精一杯の想いを込めてそう言って電話を切った。

「ふうぅ…」
 電話を切ると、思わず吐息が漏れる。
 そしてさっきまでの会話を振り返ってみる。
 
 思わぬ会話になってしまった…
 
 なんと…

 わたしはたかが電話の会話で…

 泣いた、涙をこぼしてしまった…

 なんてことだ…

 恥ずかしい…

 やはり…

 やはりわたしは…

 彼の、浩一さんの愛を、愛情を受け、感じて変わったのかもしれない…

 ううん、いや、変わったのだ…

 だんだんと…

 本当の、女、オンナ、という存在になってきているのだ…

 そしてわたしは彼を、浩一さんを愛しているし…

 浩一さんに愛されている…

 目を閉じると、彼の笑顔が脳裏に浮かんでくる…

「はぁぁ…」

 わたしは、目を閉じ、そして今の会話の余韻に浸っていく…

 しばしの、束の間の、幸せな時間である…




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