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シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

 182 大原本部長との電話(22)

「あまりにも羽目を外し過ぎて…
 懐かし過ぎる昔の元カノとかと、焼けぼっくいに…
 なんてことはダメですからねっ」

『あっ、う、うん…』
 すると彼は慌てた声で返事をしてきた。

 えっ…
 わたしはそんな彼の慌てぶりに違和感を感じてしまう。

 えっ、まさか…

 いや、やはり…か。

『な、何を…』
 そしてそう呟いてくる。

『……………』

「……………」

 一瞬、二人で沈黙をしてしまう。

 やはり…

 地元には元カノの類がゴロゴロいるのか?、いや、絶対に居る、居るに決まっている…
 確か昔、結構モテたって云っていた。



「ああぁ…」

 すると…

 突然、わたしの胸が切なく、締め付けられそうな、そう正に刹那…的な感情の波が湧き起こってきたのである。

 そして、急に、涙がこみ上げてきたのだ…

「ああぁ…
 ごめんなさい…
 ごめんなさい、わたし…
 わたし……ったら…………」

 嗚咽寸前であった…
 だが、必死に堪えた…つもりであった。

「ああ、もお、わたしったら、もぉヤダ、ダメ、最低だわ…」
 そしてそんな悲壮的な想いにわたしは慌ててしまい、自虐する。

 えっ、なにっ?…

 嫉妬なの…

 やきもち…

 田舎で彼が…
 って、一人勝手に…

 え、な、なんだ…
 

「ああ、浩一さん…
 ごめんなさい…わたし…最低…です」
 続けて、そんな自虐の声を上げてしまう。

『わたし…
 わたし…
 あまりにも……
 あまりにも浩一さんに会いたくて、変になっちゃって…
 一人で勝手に、色々と、ぐちゃぐちゃと、変な事ばかり考えてしまって…』
 

 ダメだ…

 完全に涙声になってしまった…

 話せば、話す程に、心の奥深くから激情に近い想いが溢れ出してきてしまい、感情のウネリの波を…
 押さえ切れない。

 わたしは…

 泣いているのか…

 彼に、浩一さんにに逢いたくて…

 わたしが泣いているのか…

 あの…

 わたしが…
 
 目から涙が溢れ落ちてくる…






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