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シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

 181 大原本部長との電話(21)

「もうご法事の段取りは?…」

『ああ、弟が実家を継いでいるから、全部やってくれているんだ』
 確か昔、弟さんが二世帯住宅を建てて同居していると云っていた。

「だったらぁいいじゃないですかぁ…
 プチ同窓会なんて…」
 つい、そう言ってしまう。
 だが、なぜか、胸が騒ついてくる。

 プチ同窓会…

 そういえば同窓会って…
 わたしは…参加した事が無い。

 成人式は、当時、既に、かなりイケイケのディスコクィーンと化していて、かなり調子にのっていた時期でもあったから式には参加しなかった…

 ただ晴れ着を着て家族写真を撮り、祖父母にお祝いをもらっただけであつたのだ、だから、もちろん成人式の同窓会にも出席していない…
 

 そしてそれ以降…
 通知、連絡等も来ている気配が無かった。

 もちろん、友達もいない訳であるから
結婚式の招待もされた事が無かった…
 唯一、結婚式に招待されたのは仕事上の同期、同じ職場で三度程、同僚としてのみであったのだ。

 だから、同窓会なんて無縁であった…

 そしてそれが、ついさっきまで何とも思ってなかったし、ましてや寂しい等とも思った事が無かったのだ…

 そう、つい、さっきまでは…

 だが…


『そうか、それもいいかもなぁ…』
 すると彼はそんなわたしの言葉に合わせてなのか、そう云ってきた。
 
 だが…

 プチ同窓会…

 昔の懐かしい友達…

 久しぶりの田舎…

 そして、昔の…

 中学、高校時代の彼女との再会…

 突然、そんなワードがわたしの脳裏に浮かんだのである。

「でもぉ、ダメですからねっ」
 無意識に語気が強くなってしまう。

『えっ…』
 彼はそんなわたしの語気にドキッとしたようであった。
 
「あまりにも羽目を外し過ぎて…
 懐かし過ぎる昔の元カノとかと、焼けぼっくいに…
 なんてことはダメですからねっ」
 と、全くそんな心配等はしていないのだが、なぜか、そんな言葉が急に飛び出してしまったのである。





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