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シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

 166 トイレで…

 あ…

 やはり、わたしはさっきの電車内で濡らしてしまっていた…

 つまり、先ほどの妄想と昂ぶりは欲情であった…
 と、いう事であるのだ。


 やだ、あり得ない…


 だが、現実に下着を少し汚してしまっていたのである…
 わたしは仕方なく生理用品を当てがう事にした。

 とにかく落ち着かねば…
 そう想いながら洗面台の鏡を見る。

「あ、佐々木部長お疲れさまですぅ…
 今日は当番出勤なんですねぇ…」
 すると、以前、面接をした事のあるオペレーターさんがトイレに入ってきて、そうわたしに話し掛けてきたのだ。

「あ、うん、お、おはよう」
 その声掛けが不意だったので一瞬ドキッとしてしまう。

 あ…

「ムスク…」
 すると彼女から微かにムスク系の香りを感じ、思わず言葉に出してしまった。

「あ、はい…ムスク系なんです…
 実は、わたしぃ…」
 すると彼女が話してくる。

「蒼井美冴さんに秘かに憧れてましてぇ…
 急にオペレーション室からいなくなっちゃったから、つい、この香りの香水を……」
 と、話してきたのである。

「あ、み、美冴さんに…」
 突然、美冴さんの名前が出てきたので慌ててしまう。

「は、はい、そうなんです…
 実はオペレーターの中には何人か美冴さん派がいて…」

 確かにその話しは、以前、笠原主任から訊いた事があった…

「ほらぁ、美冴さんは実はあんな
『黒い女』時代からかなり仕事が出来る人でぇ…
 わたし秘かに気にしてたんですよぉ…
 そうしたら突然、普通の女性に戻った、いや、あれはもう変身ですよねぇ、もの凄い美人さんになっちゃってぇ、しかも正社員になったと思ったらぁ、今度は『新プロジェクト』の主任さんにまでなっちゃって………」
 と、彼女は一気に話してきたのだ。

「あ、うん、そうよね」

 まあ、それにはわたしも驚いた…

「わたし達人材派遣の正社員希望者の憧れなんですよぉ…
 だからぁこの前、つい美冴さんを意識してこのムスク系の香水買っちゃったんですぅ…」
 と、彼女は少し恥ずかしそうに話してきたのである。

「そ、そうなんだぁ…」
 わたしはここ、このタイミングでも、美冴さんの話しを聞いてしまい、またドキドキしてきてしまう。

 やはり、美冴さんは笠原主任の言っていた通りに隠れた人気があったようだ…





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