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ほしとたいようの診察室

第4章 心と身体

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「待ってたよ〜、のんちゃん」

こんなに待たせてしまったのに、大海先生の口調は前回と変わらなかった。

「すみません、遅くなって……」

内科の診察もあって、外来診察時間は過ぎていた。けれど、大海先生はのんびりとした雰囲気を崩さない。

「大丈夫。今日は満月だからねぇ、帰れないんだ」

肩を回して、ストレッチする大海先生を、怪訝な顔で見つめてしまう。

「満月?」

「そう。本当に赤ちゃんいっぱい生まれるんだよ、満月の日は。不思議だよねぇ」



大海先生は、そう言いながら窓の外を見つめる。
外は日が暮れて、暗くなってきていた。

月はまだ出ていないけど、夕焼けが綺麗だったから、きっと綺麗な月が昇るんだろう。



「それより、体調の方はどうだったかな?」


大海先生がわたしの顔を覗き込む。

吹田先生に言われた通り、吐き気と腹痛がひどいことを伝えた。

「んー、そっか〜。つらそうだね。薬、少し弱いのに変えてみようかな……。ちょっとベッドに横になれるかな?」


診察室のベッドに横になる。

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