ほしとたいようの診察室
第8章 入院生活は続く
陽太先生が来るものと思い、ドキドキしていたが、吹田先生の顔を見て、また別の方向に心が強張るのがわかる。
緊張感が抜けるのと同時に、少し、いやかなり残念な気持ちも残る。
「げっ、って思ってるでしょ。わかるわかる、バレバレよ〜」
言いながら、聴診器を耳につけ始めた。
聴診するなんて聞いていない!
「え、なんで」
「なんでって、主治医だからに決まってるでしょ」
と、なんの説明にもならない一言を放つ。
別に何も悪いことはしていないのに、抜き打ち検査のようで少しドキッとしてしまう。
それに、呼んだのは吹田先生じゃなくて、陽太先生なのだ。
「パジャマ。前開けて」
少し気怠そうな吹田先生に、反論するように声を上げる。
「待ってわたし、ナースコールで陽太先生に」
言いかけたところで、
「しーっ。まあ、とりあえず胸の音聴いてから」
と、いなされる。しかし、食い下がらずにはいられない。
「でも!」
思わず大きな声をあげると、吹田先生がイタズラするようにニヤリと笑う。
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