ほしとたいようの診察室
第8章 入院生活は続く
少し申し訳なさを感じつつ、
「あ、いや……あの、体調は大丈夫なんですけれども……呼んで欲しい人がいて」
しどろもどろに話した。
陽太先生の名前がなかなか出せずにベッドの上でもじもじとしていると、コールの向こうで看護師さんが思いついたように声を上げた。
「あ! もしかして、陽太先生ですか?」
……正解を当てられてバツが悪い。
「え! あ、まああの、そうなんですけれど……」
なんでわかったんだろう……と疑問を感じたが、それもすぐに解かれることとなる。
「吹田先生がそんなことおっしゃっていたので。じゃあ、伝えておきますね」
またも、吹田先生の差金……!
心も体も、どこまでもお見通しであることに、ため息がひとつ出る。
とはいえ、これから陽太先生がこの病室に来てくれる。
寝ていてくしゃくしゃのままだった髪をくしでとかしながら、どう話そうか思案していた。
……
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