ほしとたいようの診察室
第7章 回想、主治医の苦悩
「お外でのお約束は2つあります。言えますか?」
言いながら、指を2本立てて、のんちゃんの前に見せる。
のんちゃんは、目をキラキラさせながら、自分の指を立てて約束を思い出していた。
数日前から、外に行く時のお約束を何度も話をして仕込んで置いたものである。
それだけ、注意しないと何かしでかしそうだったから。
吹田先生には『幼児用ハーネスつけた方がいいと思うけど』と言われたことを思い出す。
「えっとね、はしっちゃだめなのと、あと」
「あと?」
「よーたせんせいと、おててつなぐの」
「そう、正解! じゃあ、お靴履いて。手繋いでいくよ〜」
声をかけた瞬間にベッドから飛び降りる。
「わーーい!!」
靴を履いた途端に走り出すもんだから、
「のんちゃん!! 走らない!!!」
手を捕まえて、握りしめる。
「お外もだけど、病院の中も走りません。わかった?」
「はい!」
元気な返事は返ってくるけど、まるで聞いてない。
病室からは、しっかり手を繋いで外へと向かった。
……今日。やっと、約束を叶えてあげられる日が来たのである。
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