ほしとたいようの診察室
第7章 回想、主治医の苦悩
「のんちゃんと同じ。よくお熱出したり、咳こんこんの病気で、苦しかったんだ」
「……ほんとに?」
「うん。ほんと」
びっくりしたように、のんちゃんは目を丸くする。
「のどのおそうじも、もくもくも、ちっくんも、やったことある?」
「あるよ」
「のんちゃんといっしょだ」
少し嬉しそうに、のんちゃんが笑う。
笑うと少し、頬に赤みが差した。
「その時にね、お医者さんがすごく、優しくしてくれたんだよ。頑張れ、大丈夫っていっぱい言ってくれたから、元気に大きくなれたんだよ」
その医者は、亡き父でもある。
父もまた、尊敬する小児科医のひとりだった。
「よーたせんせーも、のんちゃんにいってるよ」
のんちゃんが、あまりに嬉しそうに笑うもんだから。
「ふふ。そうだね」
ーーー気持ちが少し上を向く。
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