ほしとたいようの診察室
第7章 回想、主治医の苦悩
「よーたせんせ、おはなしして」
のんちゃんの、小さな声が響いて、はっとする。
のんちゃんの前で、難しい顔をしていなかっただろうか。
意識的に、顔の筋肉を緩める。
「んー、なんの?」
横抱きにしたのんちゃんと目が合う。
「ようたせんせーのおはなし」
その、意外な言葉に、思考を巡らせた。
「うーん、そうだな。」
揺れながら、昔のことを思い出す。
「陽太先生の小さい時は……」
ゆら、ゆらと、小さく揺れる。
揺れるたびに、思い出すのは、体の弱かった幼少期。
のんちゃんを抱っこするたびに、幼かった頃の自分がそこにいる気がした。
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