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ほしとたいようの診察室

第7章 回想、主治医の苦悩





ゆっくりと、遠慮がちに穿刺した針が止まる。







すかさず、



「もう少し、針進めて大丈夫」




優先生が、冷静な声でアドバイスをした。



「了解です」



蒼音くんの手元が、微かに震えている。





のんちゃんまでもが息を呑む。






すると……。


赤い血液が……ーー無事、一発でホルダーに上がってきた。





「はぁー、できた……!」





息を詰めていた蒼音くんの空気が、ふっと緩む。

「うまいじゃん、蒼音くん!」

蒼音くんは指先に集中して、最後まで丁寧に終えると、

「確かに、陽太先生の採りやすかったです」


と頭を掻く。

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