ほしとたいようの診察室
第7章 回想、主治医の苦悩
「今日はさ、陽太先生もちっくん頑張るよ」
「よーたせんせーも?」
なんで? というように、大きな瞳が揺れる。
「うん、俺も頑張る。いつものんちゃんが頑張ってるから」
そう、もうすでにのんちゃんは頑張っているのだ。
これは、忘れてはいけない。
入院している、治療を受けて安静にしている、ただそれだけで、褒められたものである。
頑張っている、と言われたのんちゃんは、満更でもなさそうな表情をする。
「あとさ、今日はちっくんのとき、優先生も来てくれるから、一緒にかっこいいところ見せようよ」
「……! ゆーせんせに、あえるの?」
揺れた瞳が、さらに嬉しそうに輝いた。
久しぶりに、優先生に会えることが、採血の恐怖より少しだけ大きくなったようだった。
「うん。だから、ちっくん頑張ろ!」
恐る恐るではあるが、のんちゃんは頷いてくれた。
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える