ほしとたいようの診察室
第7章 回想、主治医の苦悩
……
そうして、のんちゃん採血日がやってくる。
病室に行くと、のんちゃんは既に泣きそうな目をしていた。
週に1回の採血。曜日を覚えて警戒しているらしい。
「やだ! ちっくんするよーたせんせ、きらい!」
例によって、元気になって逃げ回るのんちゃんを抱き上げて、
「どうどうどう」
「うわーーん!!」
捕まえると、活きの良い魚のように体を動かす。
「こらこら、ちゃんとお話しようよ、のんちゃん」
のんちゃんは、もとから絵本は好きである。お話ときくと、興味を持つのだ。
「なんのおはなしするの?」
「ん? 楽しいお話」
……そうやって、なんとか落ち着かせる。
活きの良いのんちゃんは、すんなりと鮮度を落とすと、俺の声に耳を傾けた。
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